翼竜は恐竜が生きた時代に空を支配した爬虫類として知られていますよね。
しかし、翼竜は恐竜の一種というわけではないことをご存じですか。
それぞれが別の生き物として区別され、独自の進化を遂げてきました。
そんな翼竜について
「翼竜と恐竜は何が違うの?」
「最も大きい翼竜はどれ?」
「翼竜にはほかにどんな生き物がいるの?」
などの疑問はありませんか。
この記事では翼竜について、以下の点を中心にご紹介します。
- 翼竜と恐竜の違い
- 最も大きい翼竜
- 翼竜の生態について
最後には翼竜と鳥類の違いについても触れていきます。
鳥類は翼があり飛行する点で翼竜とよく似ていますが、分類上全く別の生物なんですよ。
それでは翼竜についてみていきましょう。
目次
「翼竜」と「恐竜」の違いとは?
翼竜は恐竜の一種と思われている方も多いと思いますが、分類上いわゆる「恐竜」とは異なります。
翼竜と恐竜は近縁種ですが、別の種類に区別されるのです。
恐竜と翼竜の分類は以下の通りです。
・爬虫網
――・双弓類
―――・主竜様類
――――・主竜形類
―――――・主竜類
――――――・鳥頸類
―・恐竜類
―・翼竜類
このように恐竜と翼竜は、主竜類の鳥頸類からそれぞれ派生した近縁種ということになります。
翼竜の名前に「竜」が含まれるので、恐竜の一種であると誤解されやすいですね。
ちなみに「首長竜」や「魚竜」も、翼竜と同じように恐竜とは異なります。
恐竜と翼竜が分類上区別されることは分かりましたが、生物的な違いはなんでしょうか。
簡単にいうと、生活圏に大きな違いがあります。
恐竜は、四足歩行または二足歩行で陸地に生息する生物と定義することができます。
一方翼竜は、飛行のために第4指から後脚までの皮膜を翼とする生物と定義され、生活圏は空です。
翼竜と恐竜はともに三畳紀から白亜紀後期まで世界中に幅広く生息し、それぞれの生活空間で進化発展を遂げてきたのです。
でかい翼竜の大きさはどのぐらい?
翼竜は、現在までにおよそ60種類が発見されています。
その大きさは大小さまざまですが、最も大きい翼竜はどのぐらいの大きさだったのでしょうか。
最も体長が大きい翼竜は「ケツァルコアトルス」です。
基本データ
- 翼開長:11m~12m
- 体重:70~110㎏
- 白亜紀後期
- 名前の意味:翼のあるヘビ
ケツァルコアトルスは史上最大級の飛行生物といわれています。
その大きさは体高が約5m、翼開長(翼を左右に広げた長さ)は約12mです。
体高は現在のキリンとほぼ同じで、両者とも同じように首が長い姿をしています。
[st-kaiwa-280]キリンが空を飛んでいると考えると、恐ろしいほど大きいですよね。[/st-kaiwa-280]
体重はおよそ70kgです。
キリンの体重がおよそ1トンであることを考えると、非常に軽いといえます。
ケツァルコアトルスをはじめとする翼竜は、飛行に耐えうるよう体の大きさのわりに非常に軽量なのが特徴です。
この軽さによって、時速60Kmで飛行することができたと考えられています。
翼竜の生態
翼竜の生態についてもう少し掘り下げてみていきたいと思います。
ここでは以下のポイントを中心にご紹介します。
- 飛行能力
- 歩行能力
- 捕食
それではさっそくみていきましょう。
飛行能力
翼竜は空の爬虫類といわれ、初めて空を飛んだ脊椎動物です。
しかし、その飛行能力については研究者間でさまざまな説が飛び交っています。
一時は「翼竜は羽ばたかず、空を飛ぶことはできなかったのではないか」との説も出ました
現在は翼竜の飛行能力について、以下のように考えられています。
- 「主として気流に乗って滑空にするように飛行していた」
- 「大型種でも、ある程度羽ばたき自力で飛ぶことができた」
翼竜の皮膜には神経や筋肉が張り巡らされており、非常に頑丈な作りであったことが分かってきました。
飛行時には皮膜の形状を微細に変化させることで、飛行経路を細かく調整することができた可能性も示唆されています。
歩行能力
翼竜の生活拠点は空ですが、多くの種は4足歩行することが可能でした。
地上では翼を折りたたんで前脚を付き、後脚は足の裏全体を使いながら歩行してました。
しかしその歩行能力は現在の鳥類のような機敏な動きとは違い、器用に動くことが難しかったようです。
特に歩行が苦手だと思われる種類では、木にぶら下がるように過ごしていたとも考えられています。
捕食
翼竜は何を食べていたかご存じですか。
種類によってさまざまですが、魚や小動物、昆虫などを食していたことが分かっています。
翼竜は頭部やくちばし、歯に特徴を持つ種類も多いです。
飛行しながら獲物に近づき、くちばしを器用に使って食物を捕獲していました。
翼竜の独特な身体的特徴は、それぞれの食物を捕食するのに適した形をしているというわけです。
翼竜にはどんな種類がいた?
翼竜は、現在までにおよそ60種類が発見されています。
ケツァルコアトルスのほかにも代表的な翼竜をいくつかご紹介します。
- プテラノドン
- ランフォリンクス
- ペテイノサウルス
- ディモルフォドン
- タラソドロメウス
- プテロダクティルス
それぞれ詳しくみていきましょう。
プテラノドン
基本データ
- 翼開長:7~9m
- 体重:15~20㎏
- 生息時代:白亜紀後期
- 名前の由来:翼をもち歯がないもの
翼竜の中で最も有名であるといっても過言ではないのが、プテラノドンではないでしょうか。
プテラノドンは翼開長がおよそ7~9mとされている大型種です。
ケツァルコアトルスと同様に非常に軽量で体重は15~20㎏と推定されています。
プテラノドンは大きなくちばしとトサカが特徴的です。
大きなくちばしを使って、魚などを食べていました。
一方大きなトサカは、くちばしとのバランスを保つために大きく発達したのではないかと考えられています。
またプテラノドンは、上昇気流に乗って100㎞以上の距離を飛び続けることができる非常に飛行能力の高い生物だったともいわれています。
ランフォリンクス
基本データ
- 翼開長:1.7m
- 体重:4㎏
- 生息時代:ジュラ紀後期
- 名前の意味:くちばし状の鼻先
ランフォリンクスは体重4㎏ほどの小型の翼竜です。
頭部は鳥類のような形をしていて、細長くとがったくちばしを持っています。
この長いくちばしは、魚や小さなエビなどを捕食するのに役立てられていました。
また長い尾にはひし形状のひれがついています。
この尾で飛行中の舵をとっていたと考えられています。
ペテイノサウルス
基本データ
翼開長:約60cm
体重:200g
生息時代:三畳紀
名前の意味:
ペテイノサウルスは三畳紀を生きた翼竜です。
翼竜の中でも原始的な種であるといえます。
ペテイノサウルスは翼竜の中でも非常に体が小さい種類です。
[st-kaiwa-280]200gってすごく軽いですね。[/st-kaiwa-280]
そしてその小さな体に不釣り合いな大きな頭部と口、長い尾を持っています。
ペテイノサウルスは主に昆虫を食していました。
トカゲなどの爬虫類も空から襲って食べていたと考えられています。
捕食時には大きな口と、その中にある鋭利な歯が役立てられていました。
ディモルフォドン
基本データ
翼開長:1.4m
体重:(不明)
生息時代:ジュラ紀前期
名前の意味:2種類の歯
ディモンフォドンはジュラ紀前期に生息した比較的原始的な翼竜です。
棒状の長い尾が特徴的です。
長い尾は飛行時のかじ取りの役割を果たしていたと考えられています。
また頭部は大きく、首は短い姿をしています。
体の構造的に歩行するのはかなり難しく、陸地で過ごす間は木などにぶら下がっていたと考えられています。
また名前の意味通り、2種類の歯も特徴的です。
4本の長い前歯と短い奥歯が生えていました。
タラソドロメウス
基本データ
翼開長:4.5m~5m
体重:(不明)
生息時代:白亜紀前期
名前の意味:海を走るもの
タラソドロメウスは大きなトサカと大きな下あごが特徴的な翼竜です。
下あごは1.5mと非常に大きく、海面近くを低空飛行しながら長いくちばしを海の中に入れて魚を捕らえるのに活用していました。
大きなトサカは性的アピールや体温調節などに使用されていたと考えられています。
プテロダクティルス
基本データ
翼開長:1m
体重:1~5㎏
生息時代:ジュラ紀後期
名前の意味:翼指
プテロダクティルスは体長1mほどの小さな翼竜です。
大きな頭部と強く湾曲した首が特徴です。
首の周りには羽毛があったと考えられています。
プテロダクティルスの大きな口の中には、獲物をかみ砕くための細かい歯がたくさん並んでいました。
大きく細長いくちばしを使って魚を食べていたと考えられています。
ちなみにプテロダクティルスは世界で一番初めに報告された翼竜としても有名です。
「翼竜」と「鳥類」の違いとは?
ところで、翼竜と鳥類の関係はご存じでしょうか。
鳥類は翼竜の進化した姿であると思っている方も多いのではないでしょうか。
実は鳥類は恐竜から分岐進化した生物なので、翼竜から進化したわけではないのです。
鳥類は以下のように分類されます。
・爬虫網
――・双弓類
―――・主竜様類
――――・主竜形類
―――――・主竜類
――――――・鳥頸類
―――――――・恐竜類
―――――――― ・竜盤類
――――――――― ・獣脚類
――――――――― ・鳥類
―――――――・翼竜類
元をたどると同じ爬虫類ですが、鳥類は小型の獣脚類から進化して誕生しました。
鳥類は翼竜ではなく、恐竜から進化した姿なのです。
それでは、翼竜と鳥類の違いはどこにあるのでしょうか。
翼竜と鳥類はどちらも空を飛びますが、その姿は大きく異なります。
最も分かりやすい違いは翼です。
鳥類は腕自体に羽毛が生え、羽毛による翼をもちます。
一方翼竜の翼は、長く伸びた4指と後脚の間に薄い皮膜が張られた形状です。
翼竜の翼は、現在のコウモリをイメージすると分かりやすいでしょうか。
また歩行にも違いがあります。
鳥類は2足歩行ですが、翼竜は4足歩行です。
鳥類は地上でも器用に2本足で移動することができますが、翼竜は先ほどもお伝えしたように歩行能力は低いです。
このように両者とも空を飛ぶ点で非常に似ていますが、分類上は全く別の種であるのです。
まとめ
翼竜は「恐竜」とも「鳥類」とも異なる性質を持ち、独自の進化を遂げた生物であることがお分かりいただけたでしょうか。
恐竜との違い
恐竜は陸地に生息する生物である。
翼竜は地上を生活拠点とする生物である。
鳥類との違い
鳥類は腕自体に羽毛が生えており、羽毛による翼を持つ生物である。
翼竜は第4指と後ろ脚に貼られた膜を翼を持つ生物である。
そして最も大きい翼竜は「ケツァルコアトルス」です。
ケツァルコアトルス
- 翼開長 およそ12m
- 体高 およそ5m
例えるならば、キリンが12mの翼を広げて空を飛んでいるような巨大な飛行生物です。
翼竜は恐竜と同じ時代でそれぞれの進化を遂げながら、空を支配した爬虫類です。
まだ解明されていないこともたくさんあります。
今後さらなる研究によって、新たな事実が解明されていくのが楽しみですね。