引用:恐竜図鑑
みなさん、カウディプテリクスを知っていますか?
「名前は知っている!」
「写真を見た事はある!」
といった人も多いと思います。
いや、むしろ
「見た事も聞いた事もない!」
という人も多いでしょう。何せカウディプテリクスは、1998年に発見された、比較的新しい恐竜だからです。
恐竜として初めて認められたイグアノドンの発表が1825年である事に比べると、新参者と言っても良いと思います。
しかしカウディプテリクスは、発見当時鳥類と間違われた面白い恐竜です。
そんなカウディプテリクスについてご紹介します。
1.基礎データと学名の意味
2.特徴と羽毛の役割
3.何を食べていたの?
4.鳥との関係はあるの?
5.見つかった場所
まとめ
目次
1.カウディプテリクスの基礎データと学名の意味
カウディプテリクス
学名:カウディプテリクス
分類:竜盤目 獣脚亜目 オヴィラプトロサウルス類 カウディプテリクス科
時代:中生代白亜紀前期(約1億4、400万年前〜約9,900万年前)
全長:約90cm
体重:推定2.5〜9kg
全長が約90cmしかない、小型の恐竜であるカウディプテリクスは、人間と比べると大人の膝上から腰までの高さしかありません。大き目の犬くらいのイメージですね。
引用:ウィキペディア
恐竜というと、ティラノサウルスやトリケラトプス等、とにかく大きな生き物だというイメージを持っている方も多いと思いますが、カウディプテリクスはとても小さな恐竜です。
私も恐竜=大きいと思っていましたが、よくよく思い出してみると、恐竜映画を見た時に小さな恐竜も映っていた記憶があります。
また、ティラノサウルスのように大きくて凶暴な恐竜を、ずっと小さな恐竜が俊敏さと獰猛さで翻弄していたシーンもあり、恐竜の強さは大きさじゃないんだなと感じた事を覚えています。
さて、小型恐竜のカウディプテリクスですが、その特徴は小ささだけではありません。恐竜なのに羽毛を持っていたのです。発見された化石には、前肢と尻尾にはっきり羽毛の痕跡が見られます。
このように、化石に羽毛の痕跡が見られる恐竜の事を羽毛恐竜といいます。
カウディプテリクスは、扇形の尾羽の他に前肢や身体にも羽毛を生やしていて、学名も「カウディ=尻尾」「プテリクス=翼」という言葉の組み合わせです。
小さい上に羽毛まであるなんて、もしかして鳥じゃないのと思うかもしれません。実際にカウディプテリクスの外見は鳥によく似ており、発見当時鳥類だとされたほどでした。しかし歯や頬骨等の形態から否定されています。
分類は竜盤目 獣脚亜目 オヴィラプトロサウルス類 カウディプテリクス科となっています。
1998年に、中国の遼寧省で発掘されました。
2.カウディプテリクスの特徴と羽毛の役割
カウディプテリクスの特徴は、なんといっても尻尾や前肢、体に羽毛が生えていた事です。この羽毛は、羽軸に沿って対照的についていました。鳥が持つ飛ぶための風切羽は左右非対称なので、カウディプテリクスの羽毛は飛ぶための物ではなかったようです。また、前肢が短い事からも飛べなかったとされています。
では、一体何のための羽毛だったのでしょうか。答えは、個体を区別したり、保温したり、求愛行動のため だったと考えられています。現在でも、孔雀等その美しさで求愛している鳥がいるので、イメージしやすいですよね。
「羽」と聞くと、鳥が飛ぶために使う物と考える人は多いと思います。私もその1人です。もちろん孔雀のように求愛行動に羽を使う鳥がいることは知っていましたが、やはり羽というと飛ぶためのものだと思っていました。
しかし、飛ぶ事より前に個体の区別・保温・求愛行動等、様々な役割があった という事が、羽毛恐竜の化石の発見によってわかってきました。
また首・前肢・胴体・尻尾は短いですが、後肢は膝から下のすねの骨が長かったため、走るのが速かったようです。
3.カウディプテリクスは何を食べていたの?
引用:ひとり古生物祭り
カウディプテリクスが何を食べていたのか、正確なところはわかりませんが、化石のお腹からはたくさんの小石が見つかっています。
この小石は胃石で、食べた植物の消化を助けるために飲み込む石です。そのため植物食の証拠と言われていますが、一方でくちばしの上顎に歯が生えていたため、雑食性とも考えられています。
現在でも、アシカ・アザラシ・ワニ・鳥類等に胃石が見られます。水棲動物の場合は、水に沈むための体重調整にも使われているそうです。
わざわざ体重を重くするなんて、人間だったら力士や格闘技をしている人くらいでしょうか。ダイエットしている女子からしたら考えられない事ですよね。
4.カウディプテリクスは鳥との関係はあるの?
発見当時は鳥と考えられていたカウディプテリクスですが、その後獣脚類の恐竜に分類されました。
実は、この獣脚類というのが鳥の祖先にあたります。
引用:恐竜の話題
そもそも、カウディプテリクスの発見によって、鳥類は羽毛を持った獣脚類が進化したものという説を強める事になりました。
それまでは、一部の主流の鳥類学者が、鳥類の恐竜起源説に異議を唱えていました。その根拠が「羽毛のある恐竜化石が見つかっていない事」だったため、カウディプテリクスの発見にはとても意義がありました。
現在羽毛の痕跡が見つかっている恐竜は、20属以上にのぼり、この内のほとんどが獣脚類です。
ちなみに、空飛ぶ恐竜で有名なプテラノドンは翼竜の一種で、鳥の祖先ではありません。
5.カウディプテリクスが見つかった場所
カウディプテリクスを含め、羽毛恐竜が見つかった場所のほとんどが中国の遼寧省に分布する熱河層群の義県層からとなっています。
これは、約1億2400万年前に繰り返された内モンゴルの火山活動によって、この辺りに大量の火山灰が積もったためです。
細粒な火山灰が生物遺骸の上に降り積もり、奇跡的に良好な保存状態で化石が残されたそうです。
私はこの話を聞いて、ポンペイを思い出しました。あちらは火砕流によって古代都市が地中に埋まったので火山灰とは少し違うと思いますが、その結果大昔の様子がそのまま保存されたという所は共通していますね。
羽毛恐竜のほとんどが遼寧省から見つかったのは、保存状態が良かったからだろうなと私個人は思っています。きっと、他の場所にも羽毛恐竜は棲息していただろうけれど、保存状態が良くなくて羽毛を確認できないんだろうなと。
まとめ
・カウディプテリクスは小型の羽毛恐竜
・羽毛恐竜とは、化石に羽毛の痕跡が見られる恐竜の事
・鳥の祖先に当たる獣脚類
・羽毛恐竜の発見が、獣脚類が鳥の祖先だという説を強めた
・胃石があった事から植物食と考えられる一方で、くちばしに歯がみつかっているため雑食性とも言われている。
・中国の遼寧省で見つかった羽毛恐竜のひとつ
興味を持った方がいらしたら、福井県立恐竜博物館に行ってみてください。カウディプテリクスの復元模型がありますよ。