1億年前の古代に生きていた巨大なワニ『サルコスクス』
巨大なサルコスクスについて体の特徴や大きさ、生態や名前の由来など色々知りたいことがあると思います。
そこで今回は
・サルコスクスの特徴
・サルコスクスの体長・体重・餌は?
・サルコスクスの名前の由来
これらについて解説していきます。
目次
サルコスクスの特徴
引用:Amazon
サルコスクスの最大の特徴は巨大な体と、口が細長く先端が大きく膨らんでいること。
また、最強の肉食恐竜であるティラノサウルスより顎の力が強いと言われています。
ここでは、サルコスクスの特徴である
・巨大な体
・口先の特徴
・顎の力
これらについて詳しく見ていきましょう。
サルコスクスの巨大な体
白亜紀前期~中期に生息したサルコスクスですが、その体の大きさは古代に生きたワニとして『ディノスクス(フォボスクス)』『プルスサウルス』に並ぶ大きさだと言われています。
全長11~12メートル、頭だけでも1.8メートルと大人の男性ほどの大きさがありました。
その巨大さが分かる写真が下記になります。
サルコスクス 全長10mを超える巨大なワニ 成体の頭骨は1.6~1.8m pic.twitter.com/oPOPSuYuOc
— 古代種生物図鑑 (@ittayuu) July 10, 2017
古代の生物は当時の地球の環境のせいもあり、生きる為に体を巨大に進化させていく傾向にありました。
それは恐竜だけにとどまらず、爬虫類であるワニも同じです。
白亜紀前期~中期に生息していたサルコスクスは、恐竜に勝るとも劣らない大きさで南アフリカの水辺を支配していたと思われます。
古代の巨大なワニとして”サルコスクス”と”ディノスクス”がよく紹介されますが、彼らが同じ場所で出会うことはありません。
サルコスクスは南アフリカに対して、ディノスクスは北アメリカに生息、同じ白亜紀でも前期と後期では全く時期が違います。
サルコスクスの口先
サルコスクスの口先は上記の写真のように長く、先端が膨らんでいるのが特徴です。
サルコスクスはワニとは遠縁にあたるフォリドサウルス類に分類され、現在のワニとは無縁のワニとされているのですが、先端が膨らんだ特徴があることからガビアル科の可能性があるとされています。
現在生息するワニには3つの特徴が見られ、下記の写真のように上からアリゲーター科・クロコダイル科・ガビアル科に分けられます。
サルコスクスは化石の特徴からするとガビアル科という風に見られるからです。
引用:ワニWikipedia
口の特徴は確かにガビアル科に似ていますが、見た目が似ているだけで全く別という意見もあります。
サルコスクスはまだ全身の骨格が発見されていない為、今後の発見によって詳細がはっきりしてくるかもしれません。
口先が長いサルコスクは頭骨だけで1.8メートルあり、歯の数に至っては100本もありました。
発見された歯の化石は、1本が直径2.5㎝長さ6.5㎝ほどありました。
100本の歯は一度噛みついたら簡単には外れません。強靭な歯と顎の力で水の中に引きずり込まれたと思われます。
サルコスクスの顎の力
サルコクスの顎の力はティラノサウルスを上回ると言われています。
ティラノサウルスの力は3~9トンに対して、サルコスクスの顎の力は8~10トンあります。
サルコスクスの顎の力8~10トンを他の動物とも比べてみましょう。
人間 | 70㎏ |
ライオン | 450㎏ |
ホホジロサメ | 303㎏ |
現在のワニ | 1~2トン |
ティラノサウルス | 3~9トン |
表で分かるように、サルコスクスの顎の力は他の生き物とは比べ物にならない事が分かります。
サルコスクスやティラノサウルは成長と噛む力が比例していると言われているので、体が大きな個体ほど噛む力があったという事になります。
またワニは古代から現代まで、水辺の生態系で他の動物が入れ替わることを許していません。
それは、他の生物を圧倒させる強さがあることを示しているとも言えます。
現在のワニも、噛む力は他の生き物に比べて圧倒的に強いのが分かりますね。
サルコクスの体長・体重・餌は?
引用:Wikipedia
ではサルコスクスの生態についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
巨大なサルコスクスの体長や体重などは下記になります。
生息時期 | 白亜紀前期~中期 |
分類 | フォリドサウルス類(爬虫類) |
科 | ガビアル科(未定) |
目 | ワニ目 |
体長 | 11~12メートル |
体重 | 8~10トン |
体高 | 2メートル |
寿命 | 50~60歳 |
食性 | 肉食 |
生息地 | アフリカ・南アフリカ |
生息環境 | 河川・沼などの淡水域 |
サルコスクスは体は巨大ですが恐竜ではありません。
分類的には爬虫類です。
現在のワニと生態はそれほど変わりません。
体長は11~12メートルで高さはありませんが、ティラノサウルスに匹敵する大きさになります。
体重も8~9トンと相当重く、また背中は固い鱗に覆われていたことから、動きはゆっくりで体の柔軟性もそれ程無かったのではと推測されています。
白亜紀前期以前は、淡水域で生存する恐竜も多くいたようですが、サルコスクスが現れたことにより淡水域の恐竜たちは姿を消しています。
これは恐竜達が地球を支配している時代、爬虫類であるサルコスクスが淡水域で頂点にいたという事を示しているとも言えます。
サルコスクスは巨大な体と圧倒的な噛む力を持ち、更に体は固いうろこに覆われており攻撃力・防御力共に優れていたため、サルコスクスに勝てるものが居なかったと思われます。
こんなに巨大なサルコスクスですが、実は今まで2~3個の歯と背中の鱗の化石しか発見されていませんでした。
その為ずっと謎に包まれていたのですが、1997年と2000年に体の約半分の化石が発見されたことで、やっと全体像が分かったのです。
ワニは頭蓋骨の長さと全身の長さは相対関係にあり、頭蓋骨の発見は全体が分かる大きな発見でした。
サルコスクスの餌は何?
サルコスクスは水辺の王者として君臨していましたが、一体どんなものを食べていたのか気になりますね。
食性は”肉食”なので主に魚や水辺の生き物、恐竜達を捕食していたと考えられます。
捕食方法としては、主には水辺にじっと潜んで獲物に噛みつき、水の中に引きずり込んでデスロールによって体を食いちぎられていたと思われます。
また口の特徴であるガビアル科と共通しているとすれば、細長い口先は水の抵抗を抑え水中で素早く動かすことが出来ます。
その為サルコスクスは主には魚を食べることがメインでは、とも言われています。
この口の特徴は、成長過程で見られ完全に大人になると口先はかなり広くなっていたという意見もあります。
その為成体と幼体では捕食方法は異なり、水中で魚を捕食する方法と水面で潜んで水を飲みに来た獲物を捕食していた、と考えるのが妥当では無いでしょうか。
一方、細い口先は”デスロールには向いていない”、巨大で鱗も硬いため”俊敏性や柔軟性に欠けていた”とも言われ、デスロールはしなかった可能性もあります。
やはり、詳細に至るまではまだ分かっていないのが現実です。
サルコスクスの名前の由来
引用:Amazon
サルコスクスの正式名称はギリシャ語で『サルコスクス・インペラトル』といいます。
名付けたのはフランスの考古学者で『肉を食べるワニの皇帝』という意味になります。
「サルコ」が肉で「スクス」がワニ「インペラトル」は皇帝になります。
ワニは肉を食べるのが普通なのに「肉を食べるワニ」だなんて・・・と思った方もいるのではないでしょうか。
名前の由来の本当の理由については分かっていないのですが・・
白亜紀後期にアフリカで生息したワニの中に、『シモスクス』という草食のワニも存在していた事が分かっています。
恐竜がいた古代には、海にも生息していたワニもいます。海に生息したワニは鎧のような鱗も無く魚しか食べなかったとされ、現代とは違い様々な種類のワニが生息していたため、食性を区別するため『肉を食べるワニ』と名付けられたのかもしれません。
英語圏では、『スーパークロックス(凄いワニ)』というあだ名がつけられ、海外ではあだ名の方が正式名より広まっているようです。
まとめ
ここまでサルコスクスの特徴や体長・体重・餌や名前の由来などを解説してきました。
まとめると
・サルコスクスの特徴は巨大な体・長く膨らんだ口先・ティラノより強い顎の力
・体長11~12メートル・体重8~10トン・餌は主に魚で水辺の恐竜等を捕食
・名前の由来はギリシャ語で意味は『肉を食べるワニの皇帝』由来は不明
となります。
サルコスクスの情報は今後の研究や発見によって生態などの詳細が更新されていく可能性があります。
その時をまた楽しみにしつつ、今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。