引用:恐竜図鑑
アルベルタケラトプスと聞いてあなたは恐竜を想像しますか?
アルベルタケラトプスとは後期白亜紀の植物食恐竜です。
この記事では、アルベルタケラトプスの次のことについて解説していきます。
・アルベルタケラトプスの全長や重さ、見た目の特徴
・アルベルタケラトプスの名前の由来
・アルベルタケラトプスの鳴き声
・アルベルタケラトプスの餌
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目次
アルベルタケラトプスの基本情報
まず、基本の情報を表にして見てみましょう。
科目 | ケラトプス科 |
亜科 | セントロサウルス亜科 |
属 | アルベルタケラトプス属 |
分類 | 鳥盤類、角竜類、双弓亜綱、周飾頭類 |
全長 | 5~6メートル |
体重 | 3500kg(推定) |
見た目の特徴
短いフリル
ケラトプス科にはセントロサウルス亜科とカスモサウルス亜科いう2つの分類があり、これは見た目にも違います。
セントロサウルス亜科は顔の周りの襟飾り(フリル)が短いのが特徴です。
引用:福井県立恐竜博物館
こちらは福井県立恐竜博物館にあるアルベルタケラトプスの標本(愛称:レオナ)です。
「え?フリル長くない?」
はい、長いです。この時の標本は、フリルが長く復元されています。
これは、アルベルタケラトプスが発見当初、カスモサウルス亜科の仲間として分類されていたためです。
従来セントロサウルス亜科とカスモサウルス亜科は上眼窩角の有無で分類されていました。しかし新しい分類法では、頭骨に空いている鼻の穴の数で判断する、というものになりました。
1つの鼻の穴の上に上顎骨孔が2つがカスモサウルス亜科、1つの鼻の穴の上に上顎骨孔が1つがセントロサウルス亜科。
この分類法でアルベルタケラトプスはセントロサウルス亜科となりました。
この標本は、まだアルベルタケラトプスとメドゥサケラトプスの化石が混同さてれいた時に復元されたものなので、かなりの割合メドゥサケラトプスの化石が混ざっているのではないかと言われています。
珍しい生え方の角
他にアルベルタケラトプスの見た目の特徴として、4本の角があります。
人間でいう眉の部分の上に2本と、フリルの上に外側に向かって突き出るホックのような角が2本あります。
引用:恐竜マンBlog
このような生え方の角は他の恐竜ではあまり見られない特徴です。
他の恐竜の角の生え方は、現在のサイのように鼻の上に大きな角がある事が多いようです。
フリル・角の役割
では、このフリルや角は何のためにあったのでしょうか?
現在の研究では次のような仮説がたてられています。
・肉食恐竜から身を守るため
・体温調整のため
・筋肉の付着面であった
・メスの獲得競争や縄張り争いに使われていた
アルベルタケラトプスの名前の由来
次に名前の由来ですが、恐竜の名前はどのようにして決まるかご存知ですか?
「~トプス」はトリケラトプスで聞いたことくらいはある、という感じでしょうか。
恐竜の名前は「~トプス」や「~ドン」「~サウルス」など、それぞれに意味があります。ですので名前だけでも、大体どのような恐竜なのか分かるのです。
~ケラトプスは顔の角の意味
アルベルタケラトプスはケラトプス科セントロサウルス亜科の角竜類です。
「~ケラトプス」は顔(頭)に角のある恐竜、という意味で、「アルベルタ」はカナダ西部アルバータ州で最初に発見された事が由来しています。
「アルバータ州」で発見された「ケラトプス科」で「アルベルタケラトプス」
こう読むと、分かりやすいですね。
他にもアルバータケラトプスと呼ばることもあります。
メドゥサケラトプスとアルベルタケラトプス
先程“見た目の特徴”のところでもありましたが、分類の方法が変わる前、アルベルタケラトプスはメドゥサケラトプスと混同されていました。
そのため、アルベルタケラトプスとして正式に記載される前は「メドゥサケラトプス」という名前で呼ばれていたこともありましたが、今では別の分類の恐竜となっています。
アルベルタケラトプスの鳴き声は?
アルベルタケラトプスの鳴き声についてですが、現在明確には解明されていません。しかし、最近の研究では映画のような大きな唸り声ではなかったのでは?という意見が多いようです。
「じゃあ映画の迫力のある唸り声はなんだったの?」と思う人も多いのではないでしょうか。映画「ジュラシック・パーク」での音響は、ゾウの赤ん坊の声を録音して作っているそうです。
そもそも発声器官は、軟部組織(繊維組織や脂肪組織など、骨以外の組織)でできているため、化石のように残らないのです。はっきりとした証拠がないので、否定も肯定もできないという訳です。
ではなぜ大きな唸り声ではなかったという意見があるのか、現代の生き物と照らし合わせて推測していきます。
現在の生き物で、恐竜に一番近い生き物。それは鳥とワニ類です。
gabicuzによるPixabayからの画像
TeeFarmによるPixabayからの画像
鳥とワニ類には喉頭と鳴管という違う発声器官があります。これは2種類に分かれてから発声能力が進化したものだろうと考えられています。
古代鳥の鳴管は一部が化石となって発見されているものがあるのですが、恐竜の骨の化石では鳴管やそれににた構造器官は発見されておりません。また、喉頭があったことを証明する発見もありません。
つまり恐竜にこの器官があったかどうかは、微妙なところです。
しかし鳥とワニ類、両種が作り出せる音があります。
それが、攻撃性を示す時に出す「シューッ」という威嚇音(いかくおん)です。
この威嚇音を出すのに、発声器官は使われません。
そしてもう一つ。
口からではなく気管や食道の小袋から空気を押し出して、低音をつくる鳴き方もあります。ハトの「クークー」という鳴き声もこの鳴き方です。
鳥もワニ類も行えるのであれば、恐竜が出していた可能性も高くなりますね。
個人的には「クークー」はちょっと恐竜のイメージと合わないかな、とも思いますが、「シューッ」という威嚇音なら、巨大な恐竜から発せられたら迫力ありそうですよね。
しかし、どれも推測です。
もしかしたら、映画のように唸り声を上げていたかもしれませんし、スズメやカラスの様に「チュンチュン」「カーカー」鳴いていたかもしれません。想像の余地があるのも恐竜の面白いところですね。
アルベルタケラトプスの餌は何だった?
次に、餌について解説していきます。
餌についても現在明確な証拠はありません。
しかし推測では、アルベルタケラトプスは植物食恐竜で植物を食べていたのではないか、とされています。
理由としては、アルベルタケラトプスが繁栄したと思われる白亜紀後期は気候が温暖で、シダやソテツなどの植物が沢山あったのではないかと考えらるからです。
他にも歯の化石や、同じ分類の恐竜からも、食べていたものを推測できます。
歯で推測
肉食恐竜の歯は肉を裂くために、ギザギザで鋭く尖っています。口も獲物にバクっと噛みつきやすいように、大きく裂けていたのではないかと考えられます。
一方植物食恐竜の歯は、平たくびっしりと並んでいます。
植物をすりつぶすように噛むために、このような歯になるのです。口の形も噛んでいる間にボロボロとこぼれないよう、おちょぼ口であったのではないかと考えられます。
分類で推測
恐竜は大きく、竜盤類(りゅうばんるい)と鳥盤類(ちょうばんるい)で分類できます。
竜盤類には肉食と植物食がいますが、鳥盤類はすべて植物食恐竜です。このことからアルベルタケラトプスは鳥盤類ですので、植物食恐竜であったといえます。
現段階では詳しいことは分かりませんが、今後の発掘や研究で判明する日が来るかもしれません。
まとめ
アルベルタケラトプスについての解説いかがでしたか?
今回の解説をまとめると
・名前は「カナダのアルバータ州」で発見された「顔に角のある恐竜」という意味
・見た目の特徴は、短いフリルと4本の角
・鳴き声は解明されていないが、ワニや鳥に似ていたのではないかと推測される
・餌は植物を食べていたのではないかと推測される
というような内容でした。
化石の研究は、新しい化石の発見や技術の進歩で、それまでの発表や定義が変わることがあります。
実際には誰も見たことのない生き物ですが、化石から分かる情報や現在の生き物と比べて、色々と想像するのも楽しいですね。