映画『ジュラシック・ワールド』に登場した翼竜の”ディモルフォドン”や”プテラノドン”
映画では、この2種類の翼竜が人々を襲いパニックになっていく様子が描かれていました。
”プテラノドン”は翼竜として有名ですが、”ディモルフォドン”については分からないことも多いかと思います。
ディモルホドンの体の大きさ・鳴き声・何を食べていたのか・プテラノドンとの違い等、色々気になりますよね。
そこで今回は
・ディモルフォドンの生態や特徴
・プテラノドンとの違い
これらについて解説していきます。
目次
ディモルフォドンの生態や特徴
引用:Wikipedia
映画に登場したディモルフォドンは、頭はゴツゴツし体も全体的に大きくカッコよく描かれていましたが、実際のディモルフォドンの体の大きさ等はどうだったのでしょうか。
生息時期や分類などは下記になります。
生息時期 | ジュラ紀前期 |
目 | 翼竜 |
分類 | 爬虫類 |
生息地 | イギリス(ヨーロッパ) |
繁殖 | 卵 |
ディモルフォドンは翼竜といっても恐竜の仲間では無く、分類としては爬虫類に入ります。
ではディモルフォドンの生態をもう少し細かく見ていきましょう。
・大きさや重さ
・飛行の仕方
・鳴き声
・何を食べていたか
大きさや重さはどのくらいなの?
引用:Wikipedia復元図
ディモルフォドンの大きさ等は下記になります。
大きさ | 1メートル |
体重 | 2㎏ |
翼長 | 1.2~1.4メートル |
映画では大きく描かれていましたが、実際の大きさを再現すると1メートル、体重も2㎏と小柄な体に長い尾を持っているのが特徴です。
体の大きさに対して頭は大きく、横から見ると楕円切り出したような口ばしをしていました。
どんな風に飛んでいたの?
ディモルフォドンは”翼竜”に分けられるのですが、実際はほとんど飛べなかったとも言われています。
これは羽の大きさに関係があります。
ほとんどの鳥は羽根が全長の倍無いと飛ぶことが出来ないのですが、ディモルフォドンは1メートルの体に対して翼を広げた状態が1.2~1.4メートルしかありません。
この大きさは長時間飛びまわることは出来ない、と言っても過言ではありません。
ディモルフォドンの翼の役割は、空を飛びまわる為では無く高い所から滑空するための補助として使っていたと考えられます。
主に移動は、翼を前足にして四足歩行をしていたようですね。
しかしその歩行も体の構造から見ると、かなり困難だったようです。
ディモルホドンには滑空の際、飛行の舵を取る為に長い尾が付いているのですが、これが歩行には全く役に立っていなかったと言われています。
映画では、下記の写真のように空を飛びまわり人に襲い掛かって恐ろしく描かれていますが、実際は鳥のような可愛らしい頭をしており、空も飛びまわっていないという事になりますね。
¿Es un pájaro? ¿Es un avión? ¡No, es un Dimorphodon de Jurassic World! Descubre más especies: http://t.co/TNgK44ssYK pic.twitter.com/zTJv65JKG8
— Hobby Consolas (@hobby_consolas) March 3, 2015
恐竜アーティストによって再現されたディモルフォドンの写真はこちらです。
Dimorphodon pic.twitter.com/cWliwVkPF0
— Lyn Joyce (@Book_Rat) September 25, 2020
どんな鳴き声だったの?
ディモルフォドンの鳴き声については不明で分かっておりません。
鳴き声についての記述が無いのには理由があります。
それは声帯の部分が化石として残りずらいという事です。恐竜のように大きな個体なら声帯も残っている可能性もありますが、小さな個体となるとかなり難しくなります。
その為まだ声についての記述は無いのですが、今後の発見によっては声帯部分が奇跡的に残っているものが出てきたり、又は声帯が復元できる技術が進むかもしれませんね。
どんな餌を食べていたの?
空を飛び回っていなかったディモルフォドンは、一体どうやって狩りをし何を食べていたのでしょうか。
ディモルフォドンの生息地は主に海岸で、崖や高い木の上にぶら下がっていました。
獲物を捕る際、ぶら下がった状態で獲物に向かって滑空し、昆虫・小動物・魚などを捕食していたと考えられます。
地上での移動は四足歩行でその歩行は困難だったことや、地上からは飛び立てないと思われることから、他の恐竜たちに狙われる可能性も高い為海岸の崖に生息、崖から魚めがけて滑空したと予測されています。
ディモルフォドンとプテラノドンとの違い
プテラノドンは”翼竜”として頻繁に映画などに登場するため、人気があります。
姿や名前は知っているけど、プテラノドンについての詳細を知っている人は少ないと思います。
またディモルホドンとの違いを語れる人はもっと限られますよね。
そこで『プテラノドン』と『ディモルフォドン』はどう違うのか見ていきましょう。
まずはプテラノドンの詳細を見てください。
生息時期 | 白亜紀後期 |
目 | 翼竜 |
分類 | 爬虫類 |
生息地 | 北米(アメリカ)アジア(日本) |
大きさ | 翼長7~8メートル |
体重 | 15~20㎏ |
食性 | 魚 |
同じ”翼竜”で分類は”爬虫類”となり、魚を食べていた事は同じのようですね。
ではディモルフォドンと違う所を4つ説明していきます。
・大きさ
・飛行
・歯の有無
・生息時期
その1:大きさ
”ディモルフォドン”と”プテラノドン”の一番の違いは大きさです。
翼長 | 体重 | |
ディモルホドン | 1.2~1.4メートル | 2㎏ |
プテラノドン | 7~8メートル | 15~20㎏ |
引用:Wikipedia
プテラノドンはオスとメスでも大きさがいました。大きいもので翼長9メートルの個体もいたとされています。
同じ翼竜でもディモルホドンは1メートルしかないのに対し、プテラノドンは7~8メートルもあったので、大きさが全く違うことが分かります。
その2:飛行
二つ目の違いは飛行時間や飛行方法です。
飛行方法 | |
ディモルホドン | 高い所から滑空し翼は補助、尾で舵を捕っていた |
プテラノドン | 空気や気流の流れに沿ってグライダーのように滑空、長い飛行が可能 |
ディモルホドンはほとんど飛べないのに対し、プテラノドンは長時間の飛行が可能でした。
しかし、鳥とは違って”自力で飛び立つ”や”長時間羽ばたき続ける”という事は出来なかったようです。
”プテラノドン”も”ディモルホドン”と同じで、高い崖のようなところから滑空し飛び立っていました。
彼ら翼竜の翼は、羽根では無く皮膚と同じ組織の薄い膜で出来ており、プテラノドンは翼が大きかった為グライダーのように空気抵抗や気流の流れを利用して長時間滑空することが可能でした。
獲物を獲得する方法は水面近くを飛び、口ばしを水面に入れて魚を捕っていたと推測され、長いくちばしの下はペリカンのように薄い皮膜があり、捕った魚を蓄えておくことも出来たとされています。
またプテラノドンは、大きいとはいえ映画のように人間を掴んで飛び去るほどの筋肉量はありません。
骨の中身は空洞に出来ていましたし、脚の爪の構造も何かを掴んで飛び立つことは出来なかったとされています。
引用:Wikipedia
骨格を見ると体がどれほど軽かったのか想像できるのでは無いでしょうか。
その3:歯の有無
3つ目の違いは歯の特徴になります。
歯の特徴 | 名前の意味 | |
ディモルホドン | 前顎4本が大きい 後ろは小さい | 二つの歯を持つもの |
プテラノドン | 歯は無い | 歯のない翼 |
歯の特徴は名前からも分かります。
『ディモルホドン』と『プテラノドン』はギリシャ語なのですが、ディモルホドンを訳すと『二つの歯を持つもの』という意味なのに対し、プテラノドンは『歯のない翼』という意味になります。
ディモルホドンは魚以外にも、昆虫や小さな小動物も食べていましたが、プテラノドンは魚を主食とし丸のみしていたことから歯は必要なかったと推測されています。
その4:生息時期
四つ目の違いは生息時期になります。
映画では”ディモルフォドン”と”プテラノドン”が人間たちを襲っていましたが、実際の生息時期は下記になります。
生息時期 | 生息場所 | |
ディモルホドン | ジュラ紀前期 1億9500万年~1億9000万年前 | イギリス(ヨーロッパ) |
プテラノドン | 白亜紀後期 8,930万年~7,400万年前 | 北米(アメリカ)アジア(日本) |
恐竜はみんな同じ時代に同じ場所で生息していたと勘違いされやすいのですが、生息時期が違うだけで生物が巨大に進化するほどの長い年月の違いがあります。
”ディモルホドン”が生息したジュラ紀前期と言えば、アメリカ、インド、オーストラリア、南極が大陸で繋がっており、ティラノサウルスの先祖もまだ人間ほどの大きさでしかない時代でした。
一方”プテラノドン”が生息した白亜紀後期は、大陸が分裂し恐竜達が隔離され更なる多様性を高めました。ティラノサウルスも12メートルに巨大化し大型生物が支配する全盛期となります。
そうなるとプテラノドンは、効率的に魚が取れる骨格や翼に進化した”翼竜”と言えるのでは無いでしょうか。
この時代の違いこそが、同じ”翼竜”でもここまで大きさが違う理由ともいえるかもしれません。
まとめ
ここまでディモルホドンの大きさ・重さ・鳴き声・餌・プテラノドンとの違いについて解説してきました。
まとめると
・ディモルホドンの大きさは1メートル・重さ2キロ
・ディモルホドンの鳴き声に至っては不明(理由として声帯の化石が残らない為)
・ディモルホドンの餌は昆虫・小動物・魚など
・プテラノドンとの違いは『大きさ・飛行・歯の有無・生息時代』
以上になります。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。