引用:恐竜図鑑
ジュラ紀中期から後期にかけて北アメリカの他、ポルトガル、アフリカと世界中の広い範囲で生息していたといわれているケラトサウルス。獣脚類のなかでも、鼻の上のツノなどとりわけオリジナルな特徴をもち、非常に強い恐竜だったと言われています。
そんなケラトサウルスですが、プテラノドンなどの人気恐竜と比べると知名度が低いため、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
今回は、オリジナルな特徴を持つケラトサウスルの
・ケラトサウルスの全長、体重
・ケラトサウルスの餌や生息地
・ケラトサウルスの名前の由来、意味
について解説していきます。
目次
ケラトサウルスの全長、体重は?
まずは、ケラトサウルスの基本情報について、確認していきましょう。
ケラトサウルスの基本情報は次の通りです。
学名 | ケラトサウスル・ナシコルニス | アロサウスル・フラギリス |
年代 | ジュラ紀中期~後期(約1億5,300万~1億4,800万年前) | ジュラ紀後期(約1億5,500万~1億5,000万年前) |
分類 | 獣脚類 | 獣脚類 |
全長 | 約4.5~6m | 約8.5~12m |
体重 | 約520~600kg | 1~3t |
ケラトサウルスは肉食恐竜である獣脚類の中でも中型とされています。
引用:古世界の住人
ただ、小柄と言っても、ケラトサウルスの全長は約6メートルでマイクロバスと同じくらいの長さがあります。
つまり、人間よりははるかに大きかったのは間違いありません。
ただし、ケラトサウルスは二足歩行をしていたとはいえ、横に長い生物ですので、高さで言えば、人間と同じくらいで、手を伸ばせばケラトサウルスの顔に触れることができたと言われています。
引用:恐竜図鑑
また体重に関しては約600kgでした。こちらも、アロサウスル・フラギリスと比べると小柄だったと言えますが、それでも十分な重さがあったと言えます。
ケラトサウルスの餌は?
大きな体をしていたケラトサウルスがどんなものを食べていたのかも、非常に気になるところですよね。
まず、結論から言うと、ケラトサウルスは肉食恐竜です。
全長・体重ともに獣脚類の中では中型と言われているケラトサウルスですが、体の特徴上手に活かし、自分よりも大きな竜脚類や鳥脚類などを獲物としていました。
例えば、大型の竜脚類では、ステゴサウルスやアパトサウルスの子どもなどを餌としていたと言われています。
実際、ステゴサウルスもアパトサウルスもケラトサウルスよりはるかに大きな体です。しかし、いずれの恐竜も動きは遅かったのです。
また、鳥脚類ではイグアノドンなどを捕食していたと考えられています。
イグアノドンもまた、ケラトサウルスと比較するとかなりの個体差がありますが、素早い動きを生かして、捕食していました。
たしかに、素早さだけで毎回勝つことができたとも、考えにくいですよね。
これに関して、実はケラトサウルスは群れで行動していたとされる化石が発見されています。
つまり、ケラトサウルスは集団で大型恐竜を攻撃していた可能性が高いということです。
ケラトサウルスの生息地はどこだったの?
ケラトサウルスはどこに生息していたいのでしょうか。
まず、現在ケラトサウルスの化石が発見されている大陸としては、アメリカ大陸・アフリカ大陸となっています。
そして、化石が発見された場所から推測すると、広い乾燥地帯よりも水辺や茂みの近くで生息し狩りをしていたと考えられます。
水辺で生息していたと言われると、泳げるのではないかと思ってしまいますよね。
実際、過去には泳ぎが得意だったという学者さんもいました。
しかし、現在の研究から、ケラトサウルスは泳ぎに向いている体型ではないことがわかり、泳ぎ上手説は否定されています。
これに関してはまだ推測の段階ですが、同じ時代に、捕食生物が同じであったアロサウルスという恐竜がいました。
アロサウルスは、体格も大きく、広い乾燥地帯で生息していました。
つまり、ケラトサウルスは、自分たちより体格の大きいアロサウルスとの縄張り争いや獲物の奪い合いを避けていた可能性が高いです。
ケラトサウルスの3つの特徴
ケラトサウルスについて、大分分かってきたところで、ここからさらに特徴的な部分を紹介していきます。
ケラトサウルスの大きな特徴は次の3つです。
・鼻の上の”ツノ”
・短剣のような歯
・前肢にある原始的な4本の指
それぞれ詳しく解説していきます。
鼻の上の”ツノ”
ケラトサウルスの最も大きな特徴と言えるのが、鼻の上にある”ツノ”です。
引用:恐竜図鑑
ケラトサウルスのシンボルともいえます。
ツノといえば、攻撃や防御に使うものだと想像すると思います。しかしケラトサウルスにあるツノは、少し貧弱で、厚みは薄く大きさも小ぶりであり、どちらかと言えば鶏のトサカに近いものでした。
いくら肉食恐竜とはいえ鶏のトサカのようなツノでは攻撃も防御もできなかったでしょう。
現在の研究では、異性に対して自分をアピールするためのディスプレイではないかと考えられています。
短剣のような歯
引用:古世界の住人
ケラトサウルスは上顎の歯がかなり長く、短剣のような鋭さをもっていました。
異性へのディスプレイであったツノとは違い、歯は薄くとても鋭利な作りでできていました。この歯があったおかげで、小柄な体からは想像できないほどの攻撃力があったと言われています。
ケラトサウルスは小柄な体を生かして、柔軟で俊敏な動きが得意だったと言われているので、その身のこなしと短剣のような歯で獲物に襲い掛かり(切り掛かる)、敵に致命傷を負わせていたと考えられています。
前肢にある原始的な4本の指
引用:福井県立恐竜博物館
最後に紹介する特徴は、前肢です。
ケラトサウルスは肉食恐竜の中でも珍しく、前肢の指が4本でした。また、前肢はとても強い力を持っていましたが、極めて短かったことが分かっています。
人間の感覚で言うと、あまり役に立たないように感じてしまいますが、そんなことはありません。
そもそも、肉食恐竜の前肢の指は3本で、普通の恐竜より1本多かったんです。
また、前肢が短い分器用に動かすことが可能で、物を強く握り、つかむこともできました。
さらに、鋭いかぎ爪となっていたので、敵を攻撃することもできたと言われています。
ケラトサウスルの名前の意味、由来は?
では、最後にケラトサウルスの名前の意味や由来について確認していきましょう。
ケラトサウルスの正式名称はギリシャ語で「ケラトサウルス・ナシコルニス」といいます。
この名前は『鼻にツノがあるトカゲ』という意味があります。
では詳しくケラトサウルスの意味を確認しましょう。
ケラトサウルス・ナシコルニス=鼻にツノがあるトカゲ
・ケラト=ツノ
・サウルス=トカゲ
・ナシコルニス=鼻にあるツノの意味
まとめ
今回はケラトサウルスの大きさや特徴などについて解説しました。
まとめると、
・ケラトサウルスの大きさはマイクロバス程度、重さはオスのホッキョクグマ程度である
・ケラトサウルスは大型の竜脚類や鳥脚類を捕食していた
・ケラトサウルスは短剣のように鋭い巨大な歯をもっていた
・ケラトサウルスの名は、特徴に由来して命名された
となります。
獣脚類の中でも中型に分類されるケラトサウルス。今後の研究でさらなる発見があることに期待しましょう。