引用:恐竜図鑑
”恐ろしい鉤爪”の意味を持つ、肉食恐竜『デイノニクス』。
あの有名な映画『ジュラシック・パーク』に登場する、ラプトルのモデルとなった肉食恐竜としても有名です。
その他、数多くの恐竜映画に登場しているデイノニクスですが、必ずと言っていいほど凶暴な肉食恐竜っぷりを披露しており、その強さから興味をもった人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな凶暴なデイノニクスの
・大きさ
・特徴
・ヴェロキラプトルと似てるかどうか
について解説します。
デイノニクスの大きさは?
凶暴な肉食恐竜と聞くと、とても大きかったのではないかと思ってしまいますが、実際の大きさはどれくらいだったのでしょうか。
結論を言うと、デイノニクスは全長2.5~3m、体重70kgと推定されています。
実際、デイノニクスは小型肉食恐竜とされています。しかし、それでもドロマオサウルス科の中では大型に分類されるほどの大きさです。
いえいえ、嘘ではありません。デイノニクスは、自分よりはるかに大きい、植物食恐竜のテノントサウルスを集団で攻撃していたとする化石が発見されているんです。
皆大好き、デイノニクス。
テノントサウルスを群で襲います。
#恐竜の日 pic.twitter.com/w1JsY9jzyg— Teddy Cookswell (@teddycookswell) April 17, 2019
両者の大きさにどれほどの差があるのかを、下の表にまとめました。
デイノニクス | テノントサウルス | |
全長 | 2.5~3m | 6.5~8m |
体重 | 50g~70kg | 1~2t |
体高 | 90㎝ | 3m |
表からもデイノニクスよりもテノントサウルスの方が圧倒的に大きいことがわかりますよね。
体格差があったとしても決して臆することなく、生き残るために全力で戦っていたということです。
デイノニクスの3つの特徴
たしかに、いくら『集団』で襲い掛かるとしても、それだけで勝てるとは思えないですよね。
実は、デイノニクスには、自分よりも大きい恐竜に勝つための特徴を持っていました。
それは次の3つです。
・後肢に備わったかぎ爪
・前肢に備わったかぎ爪
・長い尾
それぞれ、解説していきます。
後肢に備わったかぎ爪
デイノニクスの後肢には4本の指があり、その中でも第2指は大きく鋭く尖ったかぎ爪になっています。
引用:Wikipedia
この第2指の鉤爪は、他の3本の鉤爪と比べると特に大きなもので、13~15センチほどにもなる大きさです。
たしかに、たった15センチの鉤爪で自分よりも大きな恐竜に勝てるの?とも思いますよね。
この鉤爪には多彩な特徴が備わっていて、その中でも攻撃時に活躍したのが『シックルクロウ』。
シックルクロウはあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、ここでは後ろあしにある、特殊な人差し指だと思ってください。
このシックルクロウは、ネコ科のように爪を自由自在に出し入れすることができ、使わない時は上にあげておくことができました。
また、シックルクロウは爪を出し入れ出来るだはなく、可動範囲はとても広く上下に150~180度も振り下ろすこともできました。
ディノニクスのシックルクローの曲がり具合が狂おしい程好き。 pic.twitter.com/BQQ6RYgesY
— シアッツ@恐竜垢 (@siattu4509) September 17, 2020
シックルクロウは、敵を『突き刺すだけ』と言われていましたが、現在は研究によって、的に傷を負わせていた、ことも分かっています。
シックルクロウは、デイノニクスにとって、最大の武器になっていました。
前肢に備わったかぎ爪
後肢のシックルクロウだけでも十分な強さを発揮できそうなデイノニクスですが、デイノニクスの強さはシックルクロウだけではないんです。
前肢にも鋭いかぎ爪を3本も備え持っていました。
引用:Wikipedia
第1指は短く、第2指は長い。第3指は攻撃の時に威力を発揮したかぎ爪でした。この第3指のかぎ爪は、全体的に細く湾曲気味で、攻撃時は鉤爪を利用して、敵をつかんでいました。そして、ノコギリ状の歯がびっしり生えた口で噛みついていたのです。
また、前肢も手根骨(手首の骨)の形状に特徴があり、手根骨が半月状となっているため可動範囲がかなり広く、手を左右に動かすことはもちろん、手を上腕に付けたりと、とても柔軟な動きが可能でした。
https://twitter.com/hermitage_lunar/status/1180370619235360768?s=20
長い尾
たしかに、後ろあしを使った攻撃って、バランス悪そうですよね。
そのバランスを保つためにあったのが、長い尾です。
デイノニクスの尾は、骨化した腱で覆われおり、尾椎も繋がっていたので硬い竹竿のようでした。
引用:福井県立恐竜博物館
デイノニクスのこの尾は、恐竜全般を見ても非常に珍しい特徴で、自分の意志で動かすことはほぼ出来ませんが、この長くて硬い尾のおかがで、攻撃時にもバランスをとることができたのです。
また骨格から推測すると、走る速度は40km/h前後に達していたと言われています。
これだけのスピードで走ることができたのも、この長い尾のおかげと言われています。
後肢のシックルクロウ。自由に動かすことが出来る前肢。最も硬いと言われている長い尾を使いこなすデイノニクス。こんな集団に襲い掛かられると、大きな体を持ち合わせていたテノントサウルスでも簡単に逃げることはできなかったのです。
デイノニクスは白亜紀で最も恐ろしい肉食恐竜と言っても過言ではないでしょう。
ヴェロキラプトルと似てる?
ヴェロキラプトルは、過去にデイノニクスと同一種説があったほど、似てると言われています。
主な特徴を表にまとめると、次の通りです。
特徴 | ヴェロキラプトル | デイノニクス |
シックルクロウ | 有 | 有 |
羽毛 | 有 | 有 |
速さ | 40km/h | 40km/h |
種別 | 肉食恐竜 | 肉食恐竜 |
体の大きさ | 中型犬程度 | トラ程度
(肉付きはトラよりも細身) |
実際、両者の違いは体の大きさだけです。
ですので、ヴェロキラプトルとデイノニクスは似てると考えられるのは、当然でしょう。
ただし、ヴェロキラプトルとデイノニクスは同一種ではありません。
同一種ではないことは、ヴェロキラプトルとデイノニクスの頭骨を比較すると、よくわかります。
ヴェロキラプトルの頭骨→面長でほっそり
デイノニクスの頭骨→頭の形が丸みを帯びた三角形で精悍な印象。下顎も厚みがあり、強さが覗える
引用:PLANEY
見た目の特徴はよく似てるのは事実ですが、このように、頭骨を比較すると同一種ではないことは明らかです。
実際、スティーブン・スピルバーグは、デイノニクスとヴェロキラプトルが別の恐竜であることを知っていながら、名前を気に入ったという理由だけで、映画『ジュラシック・パーク』内では、デイノニクスをヴェロキラプトルとして使用しています。
しかし、繰り返しになりますが、デイノニクスとヴェロキラプトルは、まったく別の恐竜となりますので、ご注意ください。
まとめ
今回は、デイノニクスの大きさや特徴、ヴェロキラプトルと似てるかどうかについて解説しました。
まとめると、
・自分よりも大きなテノントサウルスを集団で攻撃していた
・後肢のシックルクロウが最大の特徴で、最大の武器
・ヴェロキラプトルとは似ているが、同一種ではない
となります。
知れば知るほどデイノニクスの強さがあふれてきます。今後の研究で、新たなデイノニクスの強さが解明されていくことに期待しましょう。