知らない人はいないであろう、大人気恐竜ティラノサウルス。
そんなティラノサウルスと、映画『大恐竜時代』で激しい攻防を繰り広げていたタルボサウルス。
たしかに、見た目がそっくりなので、違いがよく分からないですよね。
そこで今回は、
・タルボサウルスとティラノサウルスの特徴
・タルボサウルスとティラノサウルス違いは?
・タルボサウルスとティラノサウルスには羽毛はあるの?
ということについて解説していきます。
目次
タルボサウルスとティラノサウルスの特徴
タルボサウルスとティラノサウルスの違いを解説する前に、まずはそれぞれの恐竜の特徴について、確認しておきましょう。
タルボサウルス
まずはタルボサウルス。
タルボサウルスの基本的な情報は以下の通りです。
名称 | タルボサウルス
(恐れさせるトカゲという意味) |
時代 | 中生代白亜紀後期 (約7,000万年前) |
分類 | 獣脚亜目ティラノサウルス科 |
生息地 | アジア |
体長 | 約10 - 12メートル |
体重 | 約4 - 5トン |
タルボサウルスの化石はアジアのモンゴルや、中国のゴビ砂漠付近で数多く発見され、その数は30体を超えています。
これはティラノサウルスよりも多く、同じ時代の恐竜の中で一番多いです。
また、タルボサウルスの前足はティラノサウルスなどと比べて最も短いのが特徴です。
前足については、様々な説があり、
・巨大な頭部の発達と引き換えに退化してしまった。
・前足はたいして役に立っていなかった。
・実はかなり大きな力を出すことができ、切り裂きによって獲物にとどめをさしていた。
などと言われています。
ティラノサウルス
続いてティラノサウルスです。
ティラノサウルスの基本的な情報は以下の通りです。
名称 | ティラノサウルス
(暴君とかげという意味) |
時代 | 中生代白亜紀末期(約6,800万- 約6,600万年前) |
分類 | 獣脚亜目ティラノサウルス科 |
生息地 | 北アメリカ大陸 |
体長 | 約11 - 13メートル |
体重 | 約6 - 9トン |
ティラノサウルスは主に北アメリカ大陸に生息していましたが、日本でもティラノサウルス科の化石などが度々発見されています。
福井県立恐竜博物館と長崎市が共同調査を行ったところ、長崎市の長崎半島西岸で、大型肉食恐竜(ティラノサウルス科)の歯の化石が2点発見されました。
その化石は歯の大きさが8.2㎝で、推定される恐竜の大きさは10m以上と発表され、国内最大級のものであるといわれています。
#FossilFriday
長崎市からは、なんとあのティラノサウルス科の歯の化石が2本も見つかっています。厚みのある歯で、縁にはギザギザ (鋸歯) がついています。
同じコーナーには最大級のティラノサウルスの標本 (通称スコッティ) の頭骨レプリカも展示されています。 pic.twitter.com/HcWNNmrSPj
— uoichiba (Yuta Tsukiji) (@uoichiba1027) September 18, 2020
また、ティラノサウルスは後ろ足が非常に発達していて、3本の中足骨(人間でいうと足の甲にあたる部分)の中央が左右から挟み潰されるような形で組み合わさっています。
引用元:ティラノサウルス、白亜紀末の大量絶滅で滅んだ最強の肉食恐竜
このような仕組みにすることで、ティラノサウルスが走行する時などの衝撃を軽減していました。
タルボサウルスとティラノサウルスの違い
タルボサウルスとティラノサウルスのことが分かったところで、次にそれぞれの違いについて説明していきます。
タルボサウルスとティラノサウルスの違いは次の表の通りです。
タルボサウルス | ティラノサウルス | |
時代 | 中生代白亜紀後期 (約7,000万年前) | 中生代白亜紀末期(約6,800万- 約6,600万年前) |
生息地 | アジア | 北アメリカ大陸 |
体長 | 約10 - 12メートル | 約11 - 13メートル |
体重 | 約4 - 5トン | 約6 - 9トン |
頭骨 | ・顔が細く、立体視が出来ない
・発達した下顎 |
・立体視が出来る。 |
噛む力(咬合力) | 約5トン | 最大8トン |
歯の本数 | 約60本程 | 約52本程 |
特徴 | ・前足がティラノサウルス科で最も短い。 | ・後ろ足が発達している。 |
タルボサウルスとティラノサウルスはそれぞれ別の大陸に生息し、
・タルボサウルスはアジアの王者
・ティラノサウルスは北アメリカ大陸の恐竜の王者
として君臨していました。
また、体長や体重にも多少ですが違いがありました。
しかし、これらの違いだけでは、見た目で違いを判断するのは難しいですよね。
そこで、さらに注目したい大きな違いは、頭骨と歯の大きさです。
それぞれ詳しく解説していきます。
頭骨
タルボサウルスは顔が細く、前を見て物を立体的に見る立体視ができなかったのに対し、ティラノサウルスは、立体視ができたと言われています。
これに関しては、タルボサウルスとティラノサウルスの正面の骨格を比較してみると、よく分かります。
タルボサウルスの頭骨
ティラノサウルスの頭骨
引用元:恐竜ラボ・岡山に行ったぞ!・3: 小森君美の言いたい放題
正面から見ると、タルボサウルスは目の位置が見えないのに対し、ティらのサウスルは、はっきりと分かります。
これは顔の方にもはっきりと表れているので、タルボサウルスとティラノサウルスを見分ける場合、まずは顔をみるのが一番でしょう。
歯の大きさ
歯の本数はタルボサウルスが約60本程、ティラノサウルスが約52本程でタルボサウルスの方がやや多いと言われています。
たしかに本数はそこまで変わらないですね。
しかし、注目すべきは歯の大きさです。
ティラノサウルスの歯は全長30cm。
タルボサウルスの歯は、あっても全長18cm程度だったと言われています。
また、タルボサウルスの噛む力(咬合力)は約5トンに対し、ティラノサウルスは最大で8トンもの力があったと言われています。
見た目は同じでも、ティラノサウルスの方が、歯は大きく、噛む力も強かったということです。
タルボサウルスとティラノサウルスには羽毛はあるの?
たしかに恐竜の体を覆っていたのは羽毛なのか、うろこなのかという議論がよくされています。
しかし、残念ながらタルボサウルスやティラノサウルスに羽毛があったかどうかは未だにはっきりしていません。
ですが、中生代前期白亜紀(約1億2460万年前)に生息していたティラノサウルスの仲間のユウティランヌスは羽毛がありました。
当時は平均気温10度と寒冷な場所が多かったため、羽毛がとくに発達したと考えられています。
それまで小型の羽毛恐竜しか見つかっておらず、大型の恐竜には羽毛が生えていなかったのではないか、という意見が圧倒的に多かったのですが、この発見で大型の肉食恐竜であっても羽毛が生えていたいたということが、明らかになりました。
まとめ
今回は、タルボサウルスやティラノサウルスについて説明していきました。
まとめると、
・タルボサウルスは顔が細く立体視が出来ないが、ティラノサウルスは立体視が出来る。
・噛む力(咬合力)はティラノサウルスの方が強いが、タルボサウルスはティラノサウルスよりも発達した下顎を持っている。
・歯の本数はタルボサウルスが約60本程、ティラノサウルスは約52本程。
・ティラノサウルスやタルボサウルスにも不毛が生えていた可能性がある
となります。
タルボサウルスやティラノサウルスは化石が多く発掘されているため、今後も新しい情報が発見される可能性が高いです。今後の研究に注目です。