確かに、化石の値段って気になりますよね・・
小さな化石は、ネットなどでも手ごろな値段で手に入ります。
しかし、”ティラノサウルス”ほどの大きさになると、どうなのでしょう・・
みなさんは、恐竜の化石コーナーに展示されている”ティラノサウルス”を間近で見た事がありますか。
見に行ったことがある方、これから見に行くという方も、ティラノサウルスの迫力ある、大きな化石を目の前にした時、こんな疑問があるのでは無いでしょうか。
・ティラノサウルスの化石の値段っていくらなんだろう?
・博物館の化石に本物はあるの?
・本物が展示されている博物館はどこなの?
これらについて解説していきます。
目次
ティラノサウルスの生態
まずは、ティラノサウルスの生態について見ていきましょう。
・ティラノサウルス(Tレックス)
・約6850年~6550万年前 白亜紀後期生息した最大最強の肉食恐竜
・300万年を生態系の頂点として君臨
・体長11~13メートル
・体重3~9トン
・噛む力 最大8トン
・大きな頭と小さな手が特徴
・メスの方が大きく、雄は細身
・成体のティラノサウルスは脚が遅く、走れない
・寿命は30歳ほど
・鋭い嗅覚や聴覚を持っていた
・目が正面を向いており、物を立体的に見ることが出来る
・声帯が無いため『鳴かない』
ティラノサウルスの生態については、最新の研究によって、今まで想像していた映画のイメージと全く違うことが分かってきました。
鳴き声が意外と”かわいい声”だったり、単独行動ではなく、”群れ”で狩りをしていたなど、情報が更新されています。
頭がよく、幼体と成体で役割分担をして狩りをしたり、怪我で動けない仲間の、面倒を見ていたことも、分かってきました。
こういった情報が更新されると、ただ恐ろしいだけのイメージから、生物として生活していたティラノサウルスを想像することが出来ますね。
これらの情報は、最新の科学技術を使い、化石を調べることで分かってきているのです。
ティラノサウルスの化石の値段は?
ティラノサウルスの化石の値段は、10億や33億という値段で落札されています。
恐竜の化石を見つけるには、何万年、何億年も前の地層から、掘り起こさなければなりません。
また、全身を再現できる保存状態にあるのもは、そう簡単に出てこないのです。
過去110年の間でも、ティラノサウルスの標本は、46体しか見つかっておりません。
その中でも、大きく完全に近い状態で見つかるのはほんの数体。
それ程に貴重な存在の為、高額で取引されているのです。
そこで、ほぼ完全な状態で見つかったティラノサウルス、2体について解説します。
・「スー(Sue)」
・「スタン(Stan)」
スー(Sue)について
スー(Sue)とは、1990年に米国サウスダコタ州で発見された、6700万年前のティラノサウルスの化石のことです。
発見者である、「スーザン・ヘンドリクソン」にちなんで”スー”と呼ばれています。
スー(Sue)は、発見後、発掘者や土地所有者によって所得争いがおき、裁判にかけられる等ありましたが、1997年5月にオークションにかけられ「フィールド博物館」によって870万ドル(日本円で10億円)という金額で競り落とされました。
貴重とは言え、このような高額になった理由に
以下による要因があったと考えられます。
・ティラノサウルスが肉食恐竜の中でもっとも人気があった
・これまで見つかった中でも最大級の大きさだった
・全身の90%以上の骨が揃っており、保存状態も良かった
当時、研究者たちは、オークションに出されることで、化石が私的な所有物になり、『世間に公開されなくなるのでは』と危惧していました。
フィールド博物館もそのことを心配し、スー(Sue)の購入に踏み切ったそうです。
資金調達には苦労したようですが、会社や個人に支援を要請、カルフォルニア州立大学や、ウォルト・ディズニー・マクドナルドなど、多くの企業や個人から支援を得て、競り落とすことが出来たようです。
スー(Sue)の情報は以下になります。
全長 | 12.3メートル |
腰までの高さ | 3.66メートル |
体重 | 8.4~14トン |
死亡時の年齢 | 28歳(最高齢) |
性別 | 不明 |
研究で分かった事 | 至る所に病変があり、多くのケガや病気、感染症や通風、関節炎を起こしていたことが分かっている |
保存状態 | 全身の90%以上の骨が残っており、保存状態も良かった |
ティラノサウルスの性別は、判別が大変難しく、スー(Sue)に至っては分かっていません。
しかし、研究者によると、生態系から見てメスの方が体が大きく骨太であることから、メスではないかと予測されています。
また、スー(Sue)は、巡回展示の為、2体しかレプリカを作成しておりません。
スタン(Stan)について
スタン(Stan)は、1987年にサウスダコタ州にて、ブラックヒルズ地質研究所のチームによって発掘されました。
名前は、発見者である「スタン・サクリンス」に由来されたものです。
スタン(Stan)の情報は下記になります。
体長 | 11.8メートル |
腰までの高さ | 約4メートル |
体重 | 5.9~10.8トン |
死亡時の年齢 | 20歳前後 |
性別 | オス |
研究で分かった事 | 頭蓋骨と首に噛まれた痕があり、Tレックス同士で戦った証拠と見ている トリコモナスに感染した痕も確認 |
保存状態 | スーに次、最も保存状態が良い個体 |
スタン(Stan)は、2020年10月6日のオークションで、恐竜の化石としては最高額となる、3180万ドル(日本円で33億6000万円)で落札されました。
これは、予想金額の4倍と言われていますが、落札者は不明です。
オークションに出されていた世界一イケメンのティラノサウルス「スタン」実物標本。手数料混み33億円で落札されたとか。
科博のコンパスにも鎮座しているあのティラノですからSeen Jurassic Park? T-Rex Skeleton Brings $31.8 Million at Christie’s https://t.co/AojxvgP031
— ツク之助◆はちゅこっと4 (@tukunosuke) October 7, 2020
今まで、多くの科学調査や展示を行ってきましたが、発見から約20年後、所有していた研究所がオークションに出すことを決意し、今回予想を上回る金額で、落札されたのです。
オークションは、一般の人も個人的コレクションとして購入が出来る為、ハリウッドの富裕層や、世界の富豪に狙われるのではないかと予測されていました。
しかし、これ程の金額になるとは、誰も想像していなかったようです。
しかし、スタン(Stan)は発見されてから、長い年月”研究所が所有”し、レプリカは約30点以上製作されています。
このレプリカは、世界中の博物館に約10万ドル(日本円で1500万)で販売されているのです。
他の恐竜の化石についての記事はこちらです。
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博物館の化石は本物?
スー(Sue)はフィールド博物館が所有し、レプリカも2体しかない為、多くの博物館に展示されているのはスタン(Stan)のレプリカになります。
なんだ、偽物か・・・と思う方もいるかもしれませんが、スー(Sue)やスタン(Stan)のような本物から、型を取り、本物と同様に作成し、展示しています。
また、化石の多くは完全では無いため、足らない部分は、他の場所で見つかった固体を参考に、レプリカで補うなどして展示しているのです。
ティラノサウルに限らず、本物の化石は、劣化しやすく、崩れてしまう可能性もあります。
研究者が研究を進める為にも、大きな恐竜などの化石は、レプリカを使用しているのがほとんどです。
本物が展示されている博物館はどこ?
引用:フィールドミュージアム
大型恐竜の化石の多くは、レプリカを使用していると説明しましたが、もちろん本物を常設している博物館もあります。
また、イベント展示として”短期間のみ展示”されたり、”体の一部だけ”だったりと、展示方法は博物館によって様々です。
ここでは、代表博物館3つを紹介します。
・フィールド自然史博物館
・パリ自然史博物館
・福井県立恐竜博物館
フィールド自然史博物館
常設展示されているのは、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにあるフィールド自然史博物館。
こちらの博物館には本物のスー(Sue)が展示されています。
頭骨は重過ぎる理由で、レプリカになっているようですが、博物館が落札したため、しっかり管理され展示されています。
近年、スーが解体され、他の場所に移設されたり、骨格を基に実物標本が作られたりと、こても見ごたえがあるように変化しているそうです。
SUEprise! 🦖 A more "meaty" SUE is now on display in our main hall until August 17. 👀 pic.twitter.com/FC82deomCR
— Field Museum (@FieldMuseum) July 30, 2020
【フィールド自然史博物館の詳細】
所在地 | 1400 S Lake Shore Dr, Chicago, IL 60605 アメリカ合衆国 |
営業時間 | 9:00~17:00 最終入館16時(火・水曜定休) |
入場料 | オールアクセスパス:大人$40/38 子供(3~11)$29/27 高齢者(65以上)・学生$35/33 |
ディスカバリーパス:大人$34/32 子供(3~11)$25/23 高齢者(65以上)・学生$30/28 | |
基本入場:大人$26/24 子供(3~11)$19/17 高齢者(65以上)・学生$23/21 | |
TEL | +1 312-922-9410 |
Wedサイト | https://www.fieldmuseum.org/ |
地図 | Googleマップ |
余談ですが、スーの貴重なレプリカの1体は、2013年3月より北九州市『いのちのたび博物館』に展示されることになりました。
これは、”フィールド博物館”と”いのちのたび博物館”は、これまで共同研究等を行ってきた関係によるもので、フィールド博物館以外の博物館では世界初となっています。
また、『いのちのたび博物館』では、スタンのレプリカも常設している為、貴重な2体を一度に見ることが出来るのはここだけです。
パリ自然史博物館
他にも、パリ自然史博物館で、「Trix」という個体のティラノサウルの化石が、ヨーロッパで初めて本物が展示されました。
これら本物が展示される場合、短期的な事が多く、パリ自然博物館での展示も2018年6月~9月の3ヶ月間のみでした。
皆さん本当に沢山のRTといいねをありがとうございます!本当に嬉しい。
そんな僕は今朝からパリに来てます。
夜行バスで早朝到着して、自然史博物館でティラノサウルスの超貴重な標本を目撃してからサン・ルイ島辺りを散策。
15時過ぎにようやくホテルにチェックイン。
夕方からまた散策!🚶♂️ pic.twitter.com/26A6cnKZYH
— 水野蒼生 (@aoi_mizuno) July 4, 2018
このティラノサウルスは、全身の75%がみつかり、頭骨は無傷だったようです。
【パリ自然史博物館詳細】
所在地 | 36 Rue Geoffroy-Saint-Hilaire, 75005 Paris, フランス |
アクセス | 地下鉄5番線または10番線でオーステルリッツ駅下車、出口2番 |
営業時間 | 10:00~18:00 最終入館17時(火曜定休) |
入場料 | 4歳未満無料 |
比較解剖学と古生物学のギャラリー:大人7€ 子供5€ | |
鉱物と地質学のギャラリー:大人6€ 子供4€ | |
進化の大ギャラリー:大人9€ 子供7€ | |
TEL | +33140795479 |
Webサイト | https://www.mnhn.fr |
地図 | Googleマップ |
いつでも本物を見るには、フィールド博物館に行くしかないのですが、このように、他の個体で短期的に展示することもある為、イベントを狙って見に行くという方法も良いかもしれませんね。
福井県立恐竜博物館
福井にある『福井県立恐竜博物館』3階にある、ダイノライブラリーではティラノサウルスの一部の化石を展示し、直接触れることが出来たり、あらゆる角度から観察できるようになっています。
すげーっ!本物のティラノサウルスの化石にさわることができるなんて!https://t.co/qViFzHUepN#ぐるたび pic.twitter.com/LbrZooedhd
— ぐるたび編集部 (@gnavi_gurutabi) September 9, 2017
全体を見るのもいいですが、本物を直接触れる経験や、様々な角度からティラノサウルスの化石を観察することもできます。
”福井県立恐竜博物館”は発掘体験や化石のクリーニングを見学出来たりと、五感をフルに刺激してくれる、そんな博物館になっています。
【福井県立恐竜博物館詳細】
所在地 | 〒911-8601 福井県勝山市村岡町寺尾51−11 かつやま恐竜の森 (長尾山総合公園) |
営業時間 | 9:00~17:00 最終入館16時(第2・4水曜日休み) |
入場料 | 小・中学生260円 高・大学生420円 一般730円 |
TEL | 0779-88-0001 |
Webサイト | https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/ |
地図 | Googleマップ |
爪や歯などの体の一部展示なら、本物を展示している博物館は多くあります。
また、博物館によって展示方法が異なり、新しい発見があると思いますので、近くの博物館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
ティラノサウルスの爪や歯に関する記事も書いています。
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まとめ
ティラノサウルスの化石の値段、本物はあるのか、展示された博物館についてまとめます。
・ティラノサウルスの化石の値段は『10億』や『33億』とかなり高額で落札された
・博物館で展示されている多くの化石はレプリカである
・本物は『フィールド博物館』に展示されている
以上になります。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。