多くの人が、「ティラノサウルス」は強暴で最強の肉食恐竜、「トリケラトプス」は弱く捕食される草食恐竜。
というイメージを持っているのではないでしょうか。
しかし、研究の中には「ティラノサウルス最強否定説」が発表されたりと、私たちが想像していた恐竜のイメージが変わりつつあります。
そこで今回は、新仮説が発表される中「ティラノサウルス」と「トリケラトプス」について
・ティラノサウルス実は弱いの?
・トリケラトプスとどっちが強いの?
について解説していきたいと思います。
目次
ティラノサウルス実は弱いの?
結論からいうと、ティラノサウルスは弱くありません。
この時代、「ティラノサウルス」は肉食恐竜として最も巨大で、獲物を噛む力は、他の肉食恐竜と比較にならないくらい強かったこともわかっています。
ティラノサウルスに噛まれたら最後、簡単に骨をかみ砕かれてしまうでしょう。
ではなぜ「最強否定説」が出てきたのでしょうか。それには、次の2点の疑問からだと考えられます。
・脚が遅く走れない
・死骸を食べていた
これらについて、それぞれ解説していきます。
ティラノサウルスの生態
まずは、ティラノサウルスの生態について詳しく見ていきましょう。
正式名称 | ティラノサウルス・レックス(Tレックス) |
生存期間 | 約6850万~6600万年前 中生代白亜紀末期、300万年を生態系の頂点として君臨 |
分類名 | 「竜盤目」「獣脚亜目」「テタヌラ下目」「コエルロサウルス類」「ティラノサウルス科」「ティラノサウルス亜科」等 |
体長 | 11~13m 雌の方が大きく、雄は細身 |
体重 | 3~9トン 成長期には1日2㎏のペースで増加 |
頭の大きさ | 1.5m |
噛む力 | 最大8トン(ワニが1~2トン) |
歯の大きさ | 大きいもので30㎝ |
鳴き声 | 鳴かない(声帯は無く空気嚢が確認)ノイズでコミュニケーションをとっていた |
姿勢 | 尻尾を地面に付けず、体をほぼ水平に延ばした姿勢 |
視覚 | 目が正面を向いており、恐竜では珍しく立体視が可能 |
嗅覚 | ずば抜けて嗅覚が鋭かった |
寿命 | 30歳ほど |
速度 | 20~40㎞又は12~15㎞と成長によって変わる |
四肢 | 体の大きさに対して前肢は異常に小さく、指が2本あるのみ |
尾椎 | 尾大腿筋が発達、強い脚力を持っていた |
ティラノサウルスと言えば鳴き声。
映画で聞くあの迫力の鳴き声も、調べによると鳴かないと知った時、ショック受けた方も多いのでは無いでしょうか。
実際はノイズ音で、鳩のような「クークー」といった声だったようです。
ゴジラのように立っていた姿は、今では生態力学からみて体を水平にして立っていたとされ、群れは作らず単独で生活していた、とされていたものは群れで行動していたと変わりました。
『ジュラシックパーク』は世の恐竜観を一変させた映画で、それ以前はティラノサウルスは「ゴジラ立ち」で描かれ脚が遅いと言われ、鳥よりトカゲに近いと考えられてたから知性が低い説が有力でしたので、ティラノサウルスのスピードやラプターの頭の良さが予想外すぎて怖かったんだよな。 pic.twitter.com/QtaFCAd50h
— 長田左右吉(オサダソウキチ) (@skcosd) September 6, 2020
また「羽毛説」は成体のティラノサウルスから発見されていない為、ハッキリとしていませんが、幼少期に羽毛があったのではという説があるように、私たちが想像していた恐竜の姿は日々変化しているようなのです。
ティラノサウルス羽毛説で判ること
1 結論的にないが一部生えてる可能性あり
2 元々近縁種のユウティラヌス・ファリの発見で羽毛が確認されて説が浮上した。
3 ワイレックスとティラノの通称名の化石から皮膚断片の化石が発見され鱗である事が確認されている。 pic.twitter.com/GWJaMXMmJO— アトロシアス陛下@本垢へ移動中 (@atorosiasu114) September 15, 2020
羽毛説についてはこちらで詳しく記事にしました。
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ティラノサウルスは脚が遅くて走れない説
ティラノサウルス「最強否定説」の理由の一つに、脚が遅くて走れない為、狩りが出来なかった。というものがあります。
これは、ティラノサウルスの時速は最大12~15㎞で、人間が全力疾走するより少し遅いくらいと考えられ、体重に対して、脚の筋肉量が足らないというのが根拠となっています。
同じ時期に生息していた、トリケラトプス等の草食恐竜の方が、軒並み脚は早かった為、走っても追いつけないというのです。
また、一度倒れると起き上がることは難しく「死」に繋がることから「走らなかった」とも言われています。
起きれない理由として前足が短いことも仮説の一つとしてされていますね。
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ティラノサウルスの手(前足)はなぜ小さい?指の数や大きさは?
ティラノサウルスは死骸を食べていた説
ティラノサウルス「最強否定説」の理由の二つ目に、死骸を食べている掃除屋という説です。
これは『体の大きいティラノサウルスは、動作が遅く、腕は小さく、動いているものを獲得できる条件に無く、また顎が巨大なのは肉を噛み切るためではなく、死骸の骨をかみ砕くもの』と考えたものです。
確かに、”成体の状態で1対のみが単独で生活していた”と信じられていた頃であれば、この仮説には説得力があります。
ティラノサウルスの条件をみて「最強ではなかったのかもしれない‥」と考えた研究者がいても不思議ではないでしょう。
しかし、この仮説に対して多くの論争があり、この「最強否定説」に否定的意見を持つ研究者によると
ティラノサウルスは大きな体を保つ為に、一日90㎏の肉が必要で、成長期には1日2㎏のペースで体が大きくなっていたと分かっています。
また、ティラノサウルスの代謝は想像以上に高く、獲物を捕ったとしても直ぐにお腹が空いてしまう状態だったと考えられ、常に飢えているティラノサウルスは、生きている獲物がとれないときは死んだものも食べていた。
「捕食」と「腐肉食」両方が自然と考えるべきでは無いかと言う意見です。
そもそも、ティラノサウルスは仲間も捕食してしまう恐竜です。
違う群れの弱った固体や、子供などが標的になったようですが、体を維持するためにどんなものも標的として食べていたと考えられます。
ティラノサウルスはどのように狩りをしたか
脚が遅く「走らなかった」のに、それでも最強の肉食恐竜として君臨ししていたティラノサウルスですが
では、どうやって草食恐竜を捕食していたのでしょうか。
それは、下記2つの方法ではないかと考えられます。
・チーム戦
・頭脳戦
これらの方法を見ていきましょう。
チーム戦
ティラノサウルスは、成体と幼体で、体つきが違った為、『チーム戦』で狩りをしていたという説です。
まだ幼体の時は、体は軽く脚も長い為、時速30キロは出せたというのです。
そのため、考えられるのは
足の速い幼体が、草食恐竜の群れを襲い一頭を追い込み、先に待ち構えていた力のある成体が仕留めるという方法になります。
これは、ティラノサウルスは”単独で生活をしていたとされる説”から、
”群れで生活をしていたとされる説”に変わった事で想定される新仮説です。
根拠となっているのが、年齢の違う複数の化石がまとまって発見されたことや、脚を骨折した後に治癒した跡のある化石を発見したことです。
この化石の発見で、”自分で餌をとれない状況でも、仲間が餌を運んで面倒を見ていた可能性を指している”と考えられているのです。
ティラノサウルスの化石についてもっと知りたい人は下記も読んでみてね~
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頭脳戦
ティラノサウルスはとても頭がよく、『頭脳戦』で獲物をとっていたという説です。
脳が巨大で、物を立体的に見れる事や、嗅覚が鋭い事などから
夜間臭いを頼りに、草食恐竜のいるギリギリまで隠れて近寄り、油断している所を一撃で仕留めるという方法になります。
チーム戦で狩りをしても、反撃をされることも考えると、若い個体は逃げるので精いっぱいになります。
そこで、嗅覚を使って夜間に襲撃するなど、頭を使って狩りをしたと考えた仮説になります。
ティラノサウルスは、トリケラトプスの首の靭帯や、腱の柔らかいところを好んで食べ、頭を噛み切ると体には見向きもしなかったようです。
そのことを証明するかのように、トリケラトプスの化石には、首を切り落とされない限り付かないような切り傷が多く見つかっていますし、胴体はほとんど見つからず、全身揃っていることの方が珍しいようです。
トリケラトプスの化石についてはこちらで詳しく書いています。
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トリケラトプスとどっちが強いの?
「ティラノサウルスの脚が遅く、草食恐竜の方が断然速い」
「ティラノサウルスは、転ぶと起き上がることが困難・・」
という説が仮に正しいのであれば、トリケラトプスとティラノサウルスが、1対1で正面から戦ったらどうなるのか、気になりませんか?
そこで、
・トリケラトプスの生態
・トリケラトプスとどっちが強いか
について見ていきたいと思います。
トリケラトプスの生態
まずは、トリケラトプスがどんな恐竜だったのか見ていきましょう。
名称 | トリケラトプス 意味は「三本の角を持つ顔」 |
生存期間 | 7060万~6600万年前 中生代白亜紀後期 |
体長 | 7.9~9m |
体重 | 6~12トン |
速度 | 24~40㎞ |
体高 | 2.9~3m |
食物 | ヤシ、ソテツ、シダなどの背の低い植物 |
歯 | 歯は鋭く、植物を切り刻むのに適している。すり減った歯は次々に好感される仕組み |
角 | 頭部の目の上と、鼻の部分に合計3本の角(長さ1.8m 形状は円錐形で突き上げたり突き刺す攻撃に向く) |
フリル | 首の周りに大きなフリル 首周りを守る盾の役割や異性へのアピールとされる 噛まれても再生 |
ティラノサウルスと同じ白亜紀後期に生息したトリケラトプス。
草食恐竜なのに、立派な角を3本も持ち、首に大きなフリルがある姿が特徴的ですね。
これらの角やフリルは、ティラノサウルスとの戦いの為、ここまで大きく進化したと考えられています。
この2種類の恐竜が、この大地で戦った痕跡のある化石が、いくつも発見されているのです。
トリケラトプスの生態については下記の記事で詳しく書いてます
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トリケラトプスとどっちが強いか
ティラノサウルスとトリケラトプス、1対1で両者が対面し戦った場合、ティラノサウルスに勝ち目はないようです。
なぜかというと、
トリケラトプスの方が圧倒的に速い為、あっという間に懐に入られ角で突き刺されて負けてしまうからです。
また、角により転倒した場合、起き上がることが困難でその間に逃げられてしまいます。
そのことを証明するように、ティラノサウルスの化石の中から、肋骨や脚にトリケラトプスに突き刺されたと思われる、穴の開いた化石が確認されています。また、ティラノサウルスにフリルを噛み切られても、その後フリルが再生するまで生きたであろう化石も発見されています。
このような理由から、正面から戦うとティラノサウルスに不利になる為、チーム戦や夜間に忍び寄る作戦で獲物を獲得していたと考えられます。
トリケラトプスの戦い方も、以前はイノシシのように「突進」して戦うと思われていたのですが、現在では突進すると鼻の骨が粉砕する可能性から、懐に潜り込んで頭を振り上げる戦い方だということが分かりました。
ただし、三半規管の弱いトリケラトプスは繰り返し攻撃をすることは難しかったようで、一撃で負傷させたり、転倒させることが出来れば・・ということになりますね。
トリケラトプスの首は強靭で、角やフリルはティラノサウルスとの関係で進化し発達。
トリケラトプスが大きく進化すると共に、ティラノサウルスもそれに応えるかのように、大きく進化したと言われています。
3本の角を持つ草食恐竜のトリケラトプスは、機敏な動きが苦手だった可能性が高いことが分かったと、福井県立大が発表しました。肉食恐竜ティラノサウルスとの格闘シーンがよく描かれますが、実際は突進を繰り返すような戦い方は難しかったようです。 https://t.co/hQl4yPOExl
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) September 18, 2020
まとめ
ティラノサウルス実は弱いのか、トリケラトプスとどっちが強いかについて解説してきました。
まとめると
・ティラノサウルスは脚が遅いが、賢く「チーム戦」や「頭脳戦」で獲物を捕っていた
・トリケラトプスと1対1で正面から対峙したら、高確率でトリケラトプスが勝つ
このようになります。
科学が進歩するとともに、今後新たに、どんな仮説が発表されるのか目が離せませんね。
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