首から背中にかけて二列のトゲ状の突起を持つ、とてもユニークな姿をしているアマルガサウルス。
そんな姿に興味をもった人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、現在までに発見されている化石は極めて少なく、研究もあまり進んでいないのが現状です。
そのため、アマルガサウルスについてあまり詳しく知らない人も多いと思います。
そこで今回は、
・アマルガサウルスの大きさ、重さ
・アマルガサウルスの食性、生息地
・アマルガサウルスの名前の由来
・アマルガサウルスのその他の特徴
について詳しく解説していきます。
目次
アマルガサウルスの大きさや重さは?
まずは、アマルガサウルスの基本情報について確認していきましょう。
アマルガサウルスの基本情報は次の通りです。
名前 | アマルガサウルス・カザウイ |
属性 | 竜脚類 |
生息時代 | 白亜紀前期(約1億2,940万年~約1億2,246万年前) |
生息地 | アルゼンチン |
全長 | 約9~12メートル |
体重 | 約10トン |
体高 | 約4メートル |
数字だけ見ると大きく見えると思いますが、実はアマルガサウルスは、大型種が多い竜脚類の中でも比較的小柄な体格です。
小柄とはいえ、全長ははしご車と同じくらいの長さがあり、体重に関してはオスのアフリカゾウと同じくらいになります。
また、体高はメスのキリンほどの高さがあるので、私たちからみれば、かなりの迫力がある大きさです。
また、後脚よりも前脚の方が長く、4̪肢の指は5本、先端には大きな爪があり、現代の生物で例えるとゾウの脚に似ていたといわれています。
特徴が似ているからといって、ゾウの仲間だったということはほぼないと思いますが、今後の研究が楽しみですね。
アマルガサウルスは草食?
引用:ジュラシックwiki
約10トンの大きさを維持するために、アマルガサウルスが何を食べていたのか気になりますよね。
結論からいうとアマルガサウルスは草食です。
竜脚類は草食恐竜がほとんどなので、アマルガサウルスも例外ではないということです。
アマルガサウルスは小柄な体に、首も短かったため、背の高い樹木の葉よりも、中程度の大きさの樹木の葉や、地上に近い草を食べていたと考えられています。また歯はディプロドクスと類似し、エンピツが何本も刺さったように生えていました。
引用:きままごと メガメガ
えんぴつが刺さったように生えていたため、歯と歯の間には隙間ができており、咀嚼して食べるよりも、枝や葉をすき取って、丸呑みに近いかたちで食べていたと言われています。
実際、アマルガサウルスは体内には、消化を助けると言われている胃石があったこともわかっています。
これにより、なおさら植物を丸呑みしていた可能性が高いということになります。
白亜紀から現在も存在する植物の代表として、スギや松、イチョウ類があります。
これらの植物は非常に硬いのですが、胃石があったことから、これらの硬い植物を食べていた可能性が高いと言われています。
アマルガサウルスの生息地は?
アマルガサウルスは現在のアルゼンチンに生息していました。発見された場所は名前の由来にもなった『アマールガ渓谷』です。
渓谷といえば草木も豊富で、水も潤沢にあり、草食であるアマルガサウルスにとっては、とても暮らしやすい環境だったと考えられます。
ただ、一つ気がかりなことがあります。
それは、近縁種であるディクラエオサウルスの発見場所がアフリカのタンザニアであることです。本当に近縁種であれば、同じ場所にいたと考えるのが妥当です。
いえ、アマルガサウルスとディクラエオサウルスは近縁種と考えて間違いありません。
では、なぜ全然違う場所で化石が発見されているのか。
それは、南米大陸とアフリカ大陸が、ジュラ紀中期まで繋がっていたからです。
引用:JAMSTEC
今後の研究で、アマルガサウルスの化石が、アフリカ大陸でも発見されるかもしれませんね。
アマルガサウルスの名前の由来
引用:ジュラシックWIKI
ではここからは、アマルガサウルスの名前の由来を見ていきましょう。
アマルガサウルスの正式名称は『アマルガサウルス・カザウイ』といいます。名前の由来は、アマルガサウルスの化石が発見された場所である『ラ・アマールガ渓谷』の名称です。意味はアマールガのトカゲです。
1991年、アルゼンチンの古生物学者『レオナルド・サルガド』と『ホセ・ボナパルト』によって命名されました。
なお、『カザウイ』については、この場所を発見した、当時国営の石油会社の地質学者である『ルイスカザウ博士』への敬意を証しての献名となります。
アマルガサウルス最大の特徴!トゲ状の突起について
ここまで、アマルガサウルスの基本的な特徴をお伝えしていきました。
では最後に、アマルガサウルスの大きな特徴を一つお伝えしておきます。
それは、首から背中にかけて並ぶトゲ状の突起です。
引用:Wikipedia
背中にトゲ状の突起を持つ恐竜といえばスピノサウルスやアクロカントサウルスなどが有名ですが、首から背中まで長い突起が並んでいるのは、唯一アマルガサウルスだけです。
アマルガサウルスのこのトゲ状の突起が長かった理由については、ハッキリとしたことは解明されていません。
ただ、近年の研究と、近縁種の解明で少しずつ明らかになっており、突起に関しては3つの説が誕生しています。
それぞれ解説していきます。
他の恐竜のツノのようにむき出しになっていた
引用:恐竜図鑑
トゲがむき出しになって、頭から背中までびっしりと生えていれば、ちょっと近づきにくいですよね。
アマルガサウルスは竜脚類の中では小柄だったので、その伸びた突起が、捕食者に対しての威嚇や防御の役割をしていたと考えられています。
この大きなトゲ状の突起があることにより、少しでも体を大きく見せることができ、捕食者から身を守れたのかもしれません。
肉質で覆われていた
引用:恐竜図鑑
これはもう少し研究を進めてみないと分からないのですが、アマルガサウルスのトゲ状の突起が肉質で覆われていたのであれば、体温調節としての役割があったという説もあります。
アマルガサウルスが生息していた時代には、背中にトゲを持つ恐竜が多く存在していました。
そして、その多くはトゲが肉質で覆われており体温調節の役割を果たしていたという説が共通してあります。
当時の気候は高温化していたので、アマルガサウルスに関しても同様の役割を果たしていた可能性が高いのではないかと言われています。
異性へのアピール
アマルガサウルスに関しては発見された化石数が少ないためまだわかりませんが、近似種では、メスよりもオスのトゲの方が発達していたことが解明されています。
アマルガサウルスのこのトゲ状の突起も、近縁種同様、異性へのアピールや群れでの順位を表すためのディスプレイに使われていたのかもしれません。
まとめ
今回は、アマルガサウルスについて解説していきました。
まとめると
・全長ははしご車と同じくらいの長さがあり、体重はオスのアフリカゾウと同じくらい、体高はメスのキリンと同じくらい
・アマルガサウルスは草食で、体内には胃石があった
・名前の由来は、発見されたアマールガ渓谷の名称が由来
・首から背中に並ぶトゲ状の突起は、肉質で覆われており体温調節としての役割があったという説が濃厚
となります。
発見されている化石が極めて少なく、まだまだ謎の多いアマルガサウルス。
今後の研究に期待しましょう。