ラプトルと聞けば、ジュラシック・パーク、ジュラシック・ワールドにも登場する「ユタラプトル」、「ヴェロキラプトル」が有名ですが、実はその他にも30種類以上ものラプトルが存在していたんです。
その種類の1つが、アウストロラプトルです。
アウストロラプトルは化石が発見されてからまだ年数が浅く、まだまだ謎に包まれている部分が多いのですが、徐々に研究が進み、全長や身長など、いろいろなことが分かってきました。
そこで今回は、現在分かってきたことの中から
・アウストロラプトルの全長や身長
・アウストロラプトルの名前の意味
・アウストロラプトルの鳴き声
について、解説していきます。
目次
アウストロラプトルの全長や体重は?
では最初に、アウストロラプトルの全長や体重をみていきましょう。
アウストロラプトルの基本データは次の表の通りです。
アウストロラプトル | ユタラプトル | |
全長 | 5~6.5メートル |
4.7メートル (下方修正前5~7メートル) |
体重 | 約300㎏ | 300~1,000㎏ |
体高 | 不明 | 1.8~2.0メートル |
分類 | 獣脚類 | 獣脚類 |
年代 | 約7000万年前
(白亜紀後期) |
1億3500万ー6500万年前
(中生代白亜紀) |
アウストロラプトルの全長は5~6.5メートルと、ユタラプトル(ドロマオサウルス科の中では最大級)に匹敵すると言われていました。しかし、近年ユタラプトルの全長が4.7メートルに下方修正されたので、これが事実なら、アウストロラプトルの全長は、ドロマオサウルス科の最大となります。
また、アウストロラプトルの体重は約300kgであったと言われています。ユタラプトルが1トンと言われているので、それに比べるとかなり細身なイメージとなります。
アウストロラプトルの名前の意味は?
アウストロラプトルという名前は、ちょっと呼びにくいですよね。一体どうしてこのような名前になったのか気になりますよね。
ここで、アウストロラプトルの名前の意味を確認していきましょう。
恐竜の名前の由来にはそれぞれ意味があります。
では、「~ラプトル」はどんな意味なのかというと、実は「強盗」・「略奪者」・「泥棒」という意味です。
たしかに、初めて知ったときは「えっ?そんな悪い恐竜だったの?」と驚いてしまいますよね。
しかし、ご安心ください。アウストロラプトルは決して悪い恐竜だったわけではありません。
この由来には諸説があり、オヴィラプトルが卵を覆う形で発見されたため「卵泥棒」という意味で、名前がついたそうです。
いえ、違います。後にわかったことなんですが、オヴィラプトルが覆っていた卵は自身の卵だったので泥棒でも何でもありません。いずれにせよアウストロラプトルは、オヴィラプトルと同じ仲間なので、そのまま「~ラプトル」と名付けられました。
アウストロラプトルはどんな鳴き声で鳴いていたの?
「恐竜の鳴き声は?」と聞かれると、真っ先に思い浮かぶ声は、映画などで聞き覚えのある少し甲高くて、ちょっとハスキーボイスなイメージではないでしょうか。
映画などで使われているあのうなり声は、『本当にこんな鳴き声だったんだろうな!』と思ってしまうほど見事でリアルな感じが伝わってきますよね。
引用:『ジュラシック・ワールド』最強恐竜バトル T-レックス VS インドラプトル
ただ、残念ながらあれが本物の鳴き声かどうかは分かりません。なぜなら、「実際に恐竜の鳴き声を聞いたことがある!」って人は誰もいないからです。
あのうなり声の正体は、赤ちゃんゾウの声の録音を使って作り上げたものです。
実際にどんな鳴き声だったのかは、はっきりとは分かっていません。ただ、ヒントはあります。それは、現在も生存する最も近縁の動物に当たってみることです。
ワニ類の共通の直近の祖先は、恐竜だった可能性もあると言われ、そのワニ類が作り出すことのできる音があるんです。恐竜にもそれが見られた可能性があります。
たしかに、ワニの鳴き声ってイメージしにくいですよね。ワニは、こんな鳴き声をしています。
喉を膨らませながら低い声で唸るような鳴き方。アウストロラプトルもこのような鳴き声だった可能性は十分あります。
アウストロラプトルの特徴は?
引用:恐竜のデジタル図鑑
ここからは、アウストロラプトルの特徴について、解説していきます。
ドロマオサウルス科の最大級と言われているアウストロラプトルの特徴は、大きな頭部に備わった細長い口です。その口の中には、小さく円錐形の細かい歯が多く並んでいました。また、前足が短いのも特徴です。
ではさらに、
・生息していた時代と場所
・「肉食」か「草食」か
について、解説していきます。
いつの時代のどこに棲息していたの?
アウストロラプトルは、アルゼンチンのリオ・ネグロ州で今から約7000万年前の白亜紀後期のアレン層から見つかっています。
白亜紀後期は白亜紀前期と比べ、各大陸での恐竜の固有度が上がっているとの研究結果もあり、繁殖とともに棲息する大陸が広がっていました。
アウストロラプトルは肉食?草食?
ドロマエオサウルス科の中でも最大級と言われるアウストロラプトルは、肉食恐竜であったと言われています。
ただし、噛む力はあまり強くなかったと言われており、歯も円錐形であることから、魚を捕食していたとする説が有力です。
ただし、その巨体を活かしてサルタサウルスなどの大型植物食恐竜を捕食していたとする説もあり、今後の研究によって、その見解が大きく変わる可能性もあります。今後の研究にも注目です。
アウストロラプトルの化石はどこで見ることが出来る?
ゴンドワナの大物略奪者~アウストロラプトル
獣脚下目
全長 6m~7m今から7000万年前の白亜紀後期に生息していたドロマエオサウルス科ウネンラギア亜科の恐竜。北半球のユタラプトルと肩を並べる最大級のデイノニコサウルス類の恐竜としても知られる。名前の由来は『南方の略奪者』という意味。 pic.twitter.com/Yf7kcjJYVl
— 凶光化フミフミ (@Fumimin_Eririn) June 11, 2020
ドロマエオサウルス科の中で最大種と言われているアウストロラプトルの化石を一度で良いから目の前で見てみたいと思いますよね。
ただ、残念ながら、常時展示している博物館はありません。
しかし、『福井県立恐竜博物館』で行われる、特別展に登場することがあります。
この博物館には他にも、発掘体験をさせてもらえたり、実際の発掘現場を見学することも出来るんです。恐竜好きにはたまらない空間になっているので、是非一度遊びに行ってみてください。
まとめ
アウストロラプトルの特徴をまとめると、次の通りです。
*ドロマエオサウルス科の中で最大種
*「~ラプトル」は、「強盗」という意味である
*大きな体格とは反して、魚などを捕食していた
発見されてからまだ年数が浅いアウストロラプトルですが、見た目の大きさとは違い意外にも魚を捕食していたり、ドロマエオサウルス科の中では最大級だったりと、まだまだ興味が沸く恐竜の一種です。今後の研究発表にも注目してみてください。