引用:Wikipedia
ミラガイアはステゴサウルスの仲間とされている中でも首の長さが特徴の中型恐竜です。
2009年に発表されましたが、発見された化石は"前半身と股関節の一部"とまだまだ謎に包まれています。
では一体どのような恐竜なのでしょうか。
今回はそんなミラガイアの下記の点について解説します。
・ミラガイアの特徴
・ミラガイアの大きさ、重さ
・ミラガイアの餌
・ミラガイアの生息地
目次
ミラガイアはどんな恐竜?
まず、基本情報は下記の通りです。
名称 | Miragaia (ミラガイア) |
学名 | Miragaia longicollum(ミラガイヤ・ロンギコルム) |
分類 | 鳥盤目、装盾亜目、剣竜下目、ステゴサウルス科、ダケントルルス亜科、ミラガイア属 |
時代 | ジュラ紀後期(約1億5000万年前) |
生息地(発見地) | ヨーロッパ(ポルトガル) |
繁殖形態 | 卵生 |
特徴1:骨が多く長い首
ミラガイア最大の特徴は、たくさんの骨で構成される長い首です。
ここでは次の項目に分けて解説します。
・ステゴサウルス科の中で異例の首の長さと頚椎の数
・首はどのように長くなったの?
・首が長くなったのはなんのため?
ステゴサウルス科の中で異例の首の長さと頚椎の数
ミラガイアはステゴサウルス科に分類されていますが、首が太くて短いとされる同科としては異例の首の長さを誇っています。
ミラガイアの全体像
引用:古世界の住人
ステゴサウルスの全体像
引用:DINO STORE
同じステゴサウルス科の中で比較すると、ミラガイアの首の長さが1.8m なのに対し、ステゴサウルスの首の長さは1mもありません。
実はミラガイアが発見されるまでの間、ステゴサウルス科を特定するには下記が条件とされていました。
・太く短い首
・背中の骨板
・尾のスパイク
・後肢より短い前肢
さらに頚椎(首の骨)の数を見てみると、ミラガイアの頚椎が17個に対しステゴサウルスの頚椎は10個と大きな差があります。
17個もの頚椎というと、ステゴサウルス科が含まれる剣竜類では最も多く、剣竜類が含まれる鳥盤類でも屈指の多さです。
また、首の長さが10mを超える種類もいる竜脚類と比べても、ミラガイアより頚椎の数が多かったのはほんの一握りでした。
恐竜は似ている種類でも各々骨の数は全く異なっていたんじゃのう
首はどのように長くなったの?
ミラガイアの長い首は、他のステゴサウルス科と比べても椎骨(ついこつ)全体の数は変わりません。
おそらく背中にある胴骨が頸骨へと変化したと見られています。
頭側から頚椎(首)・胴椎(胴)・仙椎(腰)・尾椎(尾)となっておる
なお、ミラガイアの化石は椎骨が伸長していましたが、死後に堆積物中での変形が原因の可能性があると考えられています。
首が長くなったのはなんのため?
ミラガイアの首が長くなったのは、以下の用途のためではないかと考えられています。
・高いところの植物を食べるため
・異性へのアピールのため
理由がどちらであっても、これほど多くの頚椎があるということは、ミラガイアの首は器用に動かせていたのでしょう。
特徴2:背中のプレートとスパイク
ミラガイアの背中には骨板と呼ばれる比較的小さい三角形のプレートが他の剣竜類同様に2列並行に並んでいました。
また、尾部にはいくつかのスパイクがあったと考えられています。
背中のプレートは、以下の用途のためだと考えられています。
・体温調節機能
・身を守るため
また、長いスパイクが1本確認されており、肩部の棘と考えられていましたが、のちに尾のスパイクの一部と訂正されています。
ミラガイアの大きさや重さは?
引用:Wikimedia
ミラガイアは全長推定5.5m~6m、重さ不明の中型の剣竜です。
ミラガイアの骨格は前半身しか発掘されていないため、全長6.5m、体重2tと推定する説もあります。
体のバランスとしては、仮に全長5.5mとすると、首の長さが1.8mなので体の約3割が首ということになります。
ミラガイアの餌は?実は〇食だった・・・
ミラガイアは、植物食恐竜です。
首が長いことから、他の剣竜類のように地面に近い植物を食べていたのではなく、高いところの植物を食べていたと考えられます。
ロンドンにある自然史博物館の古生物学者ポール・バレット氏によると、他のステゴサウルス類が届かない高い場所にあるソテツを食べていた可能性があるとされています。
また、ミラガイアのアゴの先端には歯はなく、クチバシがついていました。そのクチバシで植物を切断して食べていたと考えられています。
ミラガイアの生息地は?
ミラガイアはジュラ紀後期(約1億5000万年前)のヨーロッパ(ポルトガル)に生息していました。
ジュラ紀後期は、最も恐竜が繁栄した時代です。
活発な火山活動によって地球の二酸化炭素濃度は最大で今の約20倍となり、大量の二酸化炭素は熱を閉じ込め、地球の平均気温は今より10度高かったとされています。
降水量も多く、湿度の高い熱帯気候のため植物がたくさん育まれ、植物を食べるさまざまな動物が出現し大型化していきました。また、それらを捕食する肉食恐竜も増加・大型化していったとされています。
肉食恐竜からの脅威を除けば、ミラガイアなどの植物食恐竜にとって過ごしやすい環境だったと言えるでしょう。
発見された化石
ミラガイアの化石は1999年、ポルトガルリスボン近くのロウリニャン(Lourinhã)の村ミラガイア地区で道路工事中に発見されました。
道路工事の際に下半身は破壊されてしまったようですが、前半身はほぼ完全な状態で採集されました。
最初に発見されたのは上の図の白で記されている前半身の部分で、鼻の大部分、下顎の両方のカド、15個の頚椎(頭骨と関節で繋がった前方の2個は失われていました)、12個の助骨、肩の骨、前肢の大部分、13個の骨板とスパイクなどが含まれていました。
ヨーロッパで発見された剣竜類としては、頭部の骨が発見されたのは初めてのことでした。
その後、同じ層から若い個体の股関節の一部、椎骨の一部が発見されています。
名前の由来
ミラガイア(Miragaia)の名前は、発見場所のミラガイア地区に由来しています。
ミラガイアとは「素晴らしき地球」という意味です。
なお、ガイアはギリシャ神話で「地球の化身」「最古の大地の女神」とされています。
学名はMiragaia longicollumです。
longicollumはラテン語でlongus = long(長い)、column = neck(首) つまり「長い頸」を意味します。
この名前はポルトガル人考古学者リスボン新大学のオクタビオ・マテウス(Octávio Mateus)等によってつけられました。
まとめ
今回はミラガイアの下記について解説しました。
・17個の椎骨と1.8mの首の長さはステゴサウルス科として異例であった
・全長は5.5m〜6.0m、重さはわかっていない
・高い所にあるソテツが主食であった
・ジュラ紀後期のヨーロッパに生息していた
ミラガイアについて知りたいことはわかりましたか?
まだまだ分からない部分の多いミラガイアですが、近年新たな発掘や研究もされています。
今後も新たな事実が解明されていくことを期待しましょう。