引用:恐竜ネット
『巨大モンスター』との呼び名もある、翼竜の中で最大級を誇るケツァルコアトルス。
とてつもなく大きな翼で空を支配し、陸では4足歩行。
モンスターとまで呼ばれている、
「ケツァルコアトルスって一体どんな生物なの?」
と、興味が沸きますよね。
化石が発見されてから約50年が経ちますが、まだまだ謎に包まれているケツァルコアトルス。今回は、そんなケツァルコアトルスについて、現在までに解明されている
・ケツァルコアトルスの化石や、その大きさ
・ケツァルコアトルスの食べ物
・ケツァルコアトルスの名前の意味
ついて解説していきます。
『巨大モンスター』ケツァルコアトルスの化石はあるの?
昔の生物となると、まず気になるのは化石があるのかどうかですよね。
結論から言うと、ケツァルコアトルスの化石は発見されています。
1971年に、アメリカ・テキサス州にある、白亜紀末(約7500万年前から6600万年前)の地層から最初の化石が発見されました。化石記録としては最後の翼竜となります。
ただし、翼竜は骨が薄いため、保存状態の良い化石はほとんどありません。
ケツァルコアトルスの化石も例外ではなく、完全系を保っての発見はありません。最初に発見された化石は左翼(上腕)の骨の一部でした。
復元されたケツァルコアトルスの翼の骨格化石です(リンク先参照)。画像は私と共同研究者が北海道で見つけた翼竜の骨ですが、質感は薄いパリパリのクレープにチョコをコーティングしたお菓子のような感じです(左が私の)。
<i>Quetzalcoatlus</i> wing cast reconstruction https://t.co/OUffP8HcpM https://t.co/ANAtpNRnH1 pic.twitter.com/FoIt7SWX7g
— 中島保寿(都市大・古生物) (@japanfossil) August 10, 2020
この画像を見るだけでも、骨のモロさが分かりますね。
ケツァルコアトルスの実際の大きさは?
昨日見たケツァルコアトルスの骨格を改めて見て思ったのですが、ケツァルコアトルスって首の長さの割に首の骨の数が少ないんですね。
もっと細かい骨がズラっと並んでいるのかと思いきや腕や足の骨みたいな細長い骨が数本あるだけなのが驚きでした。 pic.twitter.com/r0VtyKTXRQ
— 植井ナオ (@AtoZmemories) August 10, 2020
完全体の化石が発見されていないとなれば、当然大きさなどは分かっていないと考えるのが普通ですよね。
しかし、ケツァルコアトルスの大きさに関しては、発表されています。
ケツァルコアトルスの大きさや形は、その後発見された近縁種や同属の小型個体(翼開長5.5m)から推算したとされています。
ではここから、今発表されているケツァルコアトルスの大きさを見ていきましょう。
ケツァルコアトルスの翼長は約10~12メートル。この大きさは小型の飛行機並みの大きさで、地上の乗り物だと大型バスほどの大きさになります。バスに翼が生えて空を飛んでいると思うと、強烈なインパクトがありますよね。
体長は6メートル。なんとオスのキリンと同じ高さとなります。キリンと言えば、私たち人間は大きく見上げないと表情を伺うことはできないくらいの高さなので、かなり大きかったということが分かります。
さらに、頭からクチバシまでは3メートルです。クチバシだけで軽自動車ほどの大きさだったんです。
言葉だけでは分かりにくいという方は、次の比較画像を見てもらうとわかりやすいです。
引用:TMチャンネル
こうして復元された実物サイズを見ると、『巨大モンスター』と呼ばれることに納得してしまいますね。
ケツァルコアトルスは何を食べていた?
これだけの大きさがあったとなると、何を食べていたのかも気になりますよね。結論として、ケツァルコアトルスは肉食です。
しかし、ケツァルコアトルスは胴体は短く、首は長くて思うように曲がらない、とてもアンバランスな体型をしていたため、瞬時に獲物を捕まえるということは難しく、獲物を自由自在に捕食できませんでした。
とはいえ、地上では4足歩行でバランスよく立つことは出来ました。また、キリンほどの全長の持ち主なだけに、広範囲に渡って地上を見渡せました。
ですので、比較的行動が遅い、恐竜の赤ちゃんなどを食べていたんです。
引用:雑学ミステリー
ちなみに、長いクチバシの中には歯はなく、獲物は全て丸呑みしていたと言われています。
ケツァルコアトルスの名前の由来は?
1975年に新種記載された際に、『ケツァルコアトルス・ノルトロピ』と命名されている、ケツァルコアトルス。たしかに、発音がとても難しいですよね。なぜこのような名前になったのでしょうか。
実は、この不思議で発音の難しい名前は、南米のアステカ神話の神、『ケツァルコアトル』が由来となっています。
『ノルトロピ』は、アメリカにかつて存在した航空機メーカーの創業者、ジャック・ノースロップに敬意を称え付けられた献名です。
ジャック・ノースロップの代表作には、あのステルス爆撃機で有名なB-2爆撃機などがあります。無尾翼機にとてもこだわりを持っていたジャック・ノースロップ。
引用:アメリカ空軍、B-2スピリット爆撃機をアンダーセン空軍基地に展開 | FlyTeam ニュース
どことなく、ケツァルコアトルスが大空を滑空している姿に似ていますね。
まさに、ケツァルコアトルスを引き継いだ爆撃機と言えるでしょう。
まとめ
今回は、ケツァルコアトルスルについての解説していきました。
まとめると、
・ケツァルコアトルスの骨は薄く、化石の発見は難しい
・全長はオスのキリンと同じ6メートル
・翼長はバスと同じくらいの約10~12メートル
・名前はアステカ神話のケツァルコアトルから由来している
巨大モンスターでありながら、多くの謎を残したまま絶滅していった、ケツァルコアトルス。
その謎の解明は現在も進められています。今後の新しい解明に期待しましょう。