ほっそりとした首にすらりとした細長い体型は、確かに泳ぐのに適しているようです。
鳥類なのに泳ぎが得意と言われるヘスペロルニスには、一体どんな特徴があるのでしょうか。
・ヘスペロルニスはどんな恐竜?
・ヘスペロルニスの大きさと重さ
・ヘスペロルニスの鳴き声
・ヘスペロルニスの餌と獲り方
を解説していきます。海の中を潜る鳥類、ヘスペロルニスのことが詳しく分かるようになりますよ。
目次
ヘスペロルニスはどんな恐竜?
ヘスペロルニスは白亜紀に生息していた恐竜です。すでに絶滅してしまいましたが、発見された化石から推測できることがありますよ。
化石と研究の結果から分かることを見ていきましょう。
・ヘスペロルニスの特徴
・ヘスペロルニスの後ろ足
・ヘスペロルニスは潜水が得意
・ヘスペロルニスは冷たい海に生息
上記4点を見ていきましょう。ヘスペロルニスがどんな恐竜なのか分かるようになりますよ。
ヘスペロルニスの特徴
特徴
名前 | ヘスペロルニス |
科 | ヘスペロルニス科 |
分類 | 鳥綱、 真鳥亜綱、ヘスペロルニス目 |
生息年代 | 白亜紀後期(8200万~7600万年前) |
生息地 | 北米(アメリカ)、発見場所はカンザス州、カナダ |
全長 | 約1.8m |
体重 | 約25kg |
食性 | 魚食 |
繁殖形態 | 卵性 |
ヘスペロルニスは「西の鳥」という意味です。アメリカの古生物学者オスニエル・チャールズ・マーシュによって命名されました。
「たそがれの鳥」とも呼ばれ、白亜紀末期、K-Pg境界層を境に翼竜類やモササウルス類と共にほとんど絶滅しました。
アビによく似た形態と習性をもち、海岸や島で群れて生活していたようです。
ヘスペロルニスの後ろ足
ヘスペロルニスは水かきのついた後ろ足がある恐竜です。
小さな翼はあるものの空を飛ぶことはできません。この前足は陸上でも水中でも、あまり役には立たなかったようです。
水中で自由自在に泳ぐために後ろ足は大きな役割を果たしました。
水中での泳ぎを得意とした現在の動物にペンギンがいます。ペンギンはヘスペロルニスよりも大きな前足があり、フリッパーとして水中で泳ぐために使っていました。
前足が退化しているからといって、ヘスペロルニスは生存競争を勝ち抜く上で不利にはならなかったようです。
なぜなら、水かきがついた強靭な前足での移動は素早く潜水も得意でした。
それでは、ヘスペロルニスは海の中で強い生き物だったのでしょうか。
サウスダコタから発見されたティロサウルスの体内からは胃内容物として、ヘスペロルニス(ウに似た海鳥)、大型硬骨魚類、大型サメ、より小型のモササウルス類(クリダステス)の化石が見つかった。
水中であっても安全ではなくヘスペロルニスは常に脅威にさらされていたようです。後ろ足は獲物を捕らえるだけでなく、敵から身を守るためにも役立っていました。
ヘスペロルニスは潜水が得意
強靭な後ろ足を生かして水中深く潜るのを得意とした恐竜です。それではどれぐらい深く潜れたのでしょうか。
潜水する脊椎動物の体重と潜水速度、潜水時間には深い関りがあります。
現代の動物がどれぐらい深く潜れるのか見てみましょう。
名前 | ヘスペロルニス | コガタペンギン | エンペラーペンギン |
体重 | 25kg | 1.4kg | 38.2kg |
潜水深度 | ???m | 最大66.7m | 最大564m |
ヘスペロルニスがどれぐらい深く潜れるのかは分かりませんが、体重が大きければ大きいほど深く潜ることができるようです。
ちなみにウ科も体重が大きいものほど長く潜水することができるようです。
体重で言えばエンペラーペンギンより軽いヘスペロルニスですが、25kgと体重があるので200m、300mと深く潜ることができたかもしれませんね。
ヘスペロルニスは冷たい海に生息
ヘスペロルニスの化石は北アメリカのカンザス州で発見されましたが、大量の化石がカナダから見つかっています。
ヘスペロルニスが生息していた当時のカナダは北極圏内にありました。
このことから、ヘスペロルニスが冷たい海の中で活動していたのだと考えられます。
ヘスペロルニスの大きさと重さ
ヘスペロルニスの画像を見るとほっそりした印象を受けるでしょうか。では、実際にどれぐらいの大きさで重さがあるのか見ていきましょう。
・ヘスペロルニスの大きさ
・ヘルペスロルニスの重さ
上記2点を解説していきます。最初に受けたヘスペロルニスの大きさと重さの印象が変わるかもしれませんよ。
ヘスペロルニスの大きさ
ヘスペロルニスの全長ですが1.8mあります。人間でいうと背が高い人と同じくらいでしょうか。
体型は、現在のアビ類やウ類に似ているようです。
初めての投稿です!
宜しくお願いします。やっとアビが撮れました!
冬羽のアビ類基本3種を撮れたので、今度は夏羽を撮影したいですが北に行ってしまうため、難しいかもです。 pic.twitter.com/o3YPYWP41I— brid Life (@pomdogtom) January 23, 2017
アビには立派な翼がありますが、ヘスペロルニスの翼は小さく空を飛ぶことはできませんでした。
陸で歩くのも大変だったので、後ろ足にある立派な水かきを生かして水中で活動することが多かったようです。
ヘスペロルニスの重さ
ヘスペロルニスは全長1.8m体重25kgあると言われていますが、人間で考えてみるとどうでしょうか。
1.8mある人間の標準体重は71kgと言われています。人間で考えると25kgの体重ではあまりに軽すぎますね。
では、実際、どういった人間が25kgあるのでしょうか。
引用:平成29 年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について
どうもヘスペロルニスは軽いようですね。
それでは、現代の鳥類とも比較してみましょう。
名前 | ヘスペロルニス | ダチョウ | コウテイペンギン | コンドル |
全長 | 1.8m | 1.8m | 1.1~1.3m | 1.1~1.3m |
体重 | 25kg | 100~160kg | 22.7~45.4kg | 11~15kg |
鳥類で世界最大と言われるダチョウですが、全長はヘスペロルニスとほぼ同じだということが分かります。ただし、体重は大きく違うようです。
コウテイペンギンやコンドルは小さいですが、体重があるためどっしりとした印象を受けます。
ヘスペロルニスは、体が大きい割に重さが軽いのでスマートな印象を受けるかもしれませんね。
ヘスペロルニスの鳴き声
ヘスペロルニスの鳴き声は分かりませんでしたが、威嚇音を使っていたのではという推測があります。
私たち人間が声を出すためには声帯を使いますね。鳥類には鳴管があるので、さえずることができます。
ヘスペロルニスに現代と同じ鳥類としての性質があれば、鳴管によって鳴き声を出していたかもしれません。
ですが、ヘスペロルニスの鳴管は見つかっていないようです。
発声器官は軟部組織でできているため、化石として発見した時には他の無機物に置き換わり朽ちてしまっていることが多いです。
地中から発掘した化石から鳴管を見つけることが難しいのが現状です。
発声器官は見つかっていないので鳴き声については分かりませんが、発声器官を使わずに音を出す方法があります。
・"シューッ"という威嚇音
・口を閉じたまま行う発声方法
上記の2つの方法で音を出していた可能性があります。威嚇音は大きく息を吐きだすだけです。
口を閉じたまま音を出すなら、開いた嘴や口から発するのではなく、気管や食堂の小袋から空気を押し出して低音を作れます。
鳥類であればハトが出す”クークー”という鳴き声がなじみがあるでしょう。
声帯を使わないで音を発する方法があるので、恐竜も同じように音を出していたかもしれませんね。
ポイント
ヘスペロルニスの鳴き声は分かりませんが、発声器官を使わない威嚇音や低音を発していたという考えがあります。
ヘスペロルニスの餌と獲り方
ヘスペロルニスは、一体どんな生き物を食べていたのでしょうか。前足が小さいのにどうやって獲っていたのかも気になるかもしれません。
・ヘスペロルニスの餌
・ヘスペロルニスの餌を獲る方法
上記2点を中心に解説します。ヘスペロルニスの餌や餌を獲る方法が分かりますよ。
ヘスペロルニスの餌
・魚
・イカ
・小型のアンモナイト
上記のような海の中にいる生物を食べていたようです。
ヘスペロルニスが生息していた時代は白亜紀ですが、水中には大量の小魚がいたため餌に困らなかったと言われています。
また仕入れ品をご紹介。今回は化石!
アンモナイト
Hoploscaphites nicolletti
白亜紀後期
アメリカ、サウスダコタ州
仕入れもだいぶ一段落しました。ちょこちょこ新着品ご紹介していきます! pic.twitter.com/xrfX04iRpT— 株式会社東京サイエンス (@tokyoscience) February 3, 2020
上記の写真は白亜紀後期、アメリカに生息していたとされるアンモナイトです。こういったアンモナイトをヘスペロルニスは食べていたんですね。
ヘスペロルニスの餌を獲る方法
・後ろ足にある立派な水かき
・長い嘴
・鋭い歯が並ぶ口
上記の3つの特徴を使いヘスペロルニスは水中で獲物を獲っていました。
前足はありますが、空を飛ぶために使うことができません。陸上でもペンギンのように跳びはねるか、のそのそと歩くかしかできませんでした。
陸上で餌を探して獲ろうと思えば大変だったでしょう。陸上で生活する肉食恐竜に襲われる危険性もあります。
陸上での生活が困難な代わりに水中での生活に向いていました。
陸上では素早く動けませんが、水中では後ろ足についている水かきを使って自由に動き回ることができたようです。長い嘴を使って瞬時に泳ぐ魚を獲ることもできました。
他にも、口の中には小さくても細かい歯がびっしり並んでいるため、獲物をしっかり固定して食べていただろうと言われています。
まとめ
ヘスペロルニスはどんな恐竜か、大きさや重さ、鳴き声、餌は何を食べるのかを見てきました。
・ヘスペロルニスは泳ぐのが得意
・ヘスペロルニスは大きさ1.8m、重さ25kg
・ヘスペロルニスの鳴き声は分からないが、威嚇音や首の部分をふくらませて音を出していたのではないか
・ヘスペロルニスは魚・イカ・小型のアンモナイトを食べていた
ヘスペロルニスは水中で食べ物を獲って生活していました。素早く動けるので敵からも逃げることもできたようです。
謎に包まれた部分もありますが、発掘と研究が進むことで新しく分かることも増えてくるでしょう。その時がくるのが楽しみですね。