引用:動く図鑑MOVE
ディロンはティラノサウルス類として初めて発見された羽毛の生えた恐竜です。
ディロングとも呼ばれています。
ディロンの発見は、子孫ともされるティラノサウルスなどの獣脚類にも羽毛が生えていたのではないか?という新たな学説を生んだとしてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
「でも一体どんな恐竜なの?」
「大きさや重さはどのくらい?」
「なにを食べていたの?」
など、気になることも多いかと思います。
ここでは、ディロンの特徴とともに次の点について解説しています。
・大きさ、重さ
・何を食べていたか
・名前の由来
・生息地
目次
ディロンはどんな恐竜?
引用:恐竜図鑑
まずは基本情報は下記の通りです。
名称 | Dilong ディロン(ディロング) |
学名 | Dilong paradoxus (ディロン・パラドクサス) |
時代 | 白亜紀前期 約1億2600万年前 |
分類 | 竜盤目 獣脚亜目 テタヌラ下目 コエルロサウルス類 ティラノサウルス上科 |
生息地(発掘地) | アジア(中国遼寧省) |
食性 | 肉食 |
ディロンは白亜紀前期に中国で生息していた原始的で小型の獣脚類で、最初に羽毛が確認されたティラノサウルス類の恐竜です。
先にも述べた通り、羽毛の生えたディロンの発見は、ティラノサウルスにも羽毛が生えていた可能性があるという仮説に影響を与え、世紀の大発見と言われました。
2004年に発見されましたが、2006年ジュラ紀後期に生息していたとされるグアンロンが発見されるまでの間、最古のティラノサウルス類と言われていました。
頭骨の特徴
引用:wikipedia
ディロンの頭骨は、ティラノサウルス類特有の特徴でもある左右の鼻の骨が融合して一つになっており、上顎の歯の断面がD字型です。
なお、ディロングだけの特徴として、頭骨の上部にY字型の稜線があります。
羽毛に覆われた身体
ディロンは、生きていた時は体全体が羽毛に覆われていたと考えられています。
発見されたディロンの化石には、下顎と尾の皮膚の印象化石がついており、そこに羽毛の跡がはっきりと付いていました。
皮膚などの柔らかい組織は分解されて化石になりにくいんじゃが,まわりの堆積物に外形が写し取られて残る場合があるんじゃ。
羽毛には羽の中心軸がなく、プロトフェザー(羽毛の原型)とよばれる繊維状の毛のようなものでした。
現在の鳥の羽ほど発達していなかったこと、骨格も飛行に適さなかったことから、飛ぶのではなく二足歩行で陸上を走り回って生活していたと考えてよいでしょう。
当時の中国の平均気温は10℃前後と寒く、保温のために羽毛が生えていました。
俊敏な身体
長い首と大きな前脚を持ち、指は3本(進化したティラノサウルス類は通常2本指)でした。
後ろ脚も長く、走るのが早かったとされています。
また、脳の特徴からも俊敏で平衡感覚に優れていたことがわかっています。
ディロンの大きさや重さは?
引用:wikipedia
ディロンは小型の恐竜で、全長約1.6m、体重はわかっていません。(推定体重15kgという説もあります)
化石は4体発見されましたが、その中でもほぼ完全な形で見つかった全長1.6mとされる骨格化石は、若い個体であると考えられており、成体になると2mほど(上図2)になった可能性があります。
日本人女性の平均身長が約158cmなので、ちょうど両手を広げた時の幅がディロンの全長と同じくらいです。(両手を広げた時の幅は大体身長と同じくらいになります)
引用:ああ良い眼鏡専門店ブログ
ディロンの餌は?
ディロンは他の獣脚類と同じく肉食です。
小さな体と俊足を活かして、地上の低い位置で生活していた小動物を追いかけ、口と前脚で捉えて食べていた可能性が高いとされています。
嗅索は小さく、嗅覚はそれほどよくなかったため、餌となる小動物のニオイではなく、目もしくは耳などの器官を働かせて獲物を探していたと考えられます。
ディロンが小動物を捕食するシーンを再現した動画がありましたので参考にご覧ください。
ディロンの意味とは?どうしてディロングと呼ばれているの?
ディロンは2004年に中国古生物学者の徐 星(ジョ・セイ)博士が命名しました。
ディロンはどういう意味?
ディロンとは、中国語で『皇帝の龍』という意味です。
『皇帝』は中国語で王様。ティラノサウルスの仲間であると考えられたことから、恐竜の王という意味を込めて付けられています。
『龍』はサウルスの中国語訳として使われています。
学名は、dilong paradoxus ディロン パラドクサス
paradoxusは"驚くべき" "常識を超えた" "逆説的"という意味です。
小型で羽毛を持っていたディロンの発見が、それまでのティラノサウルス類の常識を覆す驚きの発見であったことに由来しています。
ディロン?ディロング?どうして2つの呼び方があるの?
まず、ディロンはdilongと表記されます。
『g』は中国語では発音しない音のため中国ではディロンと読みます。
では、どうして日本ではディロングとも呼ばれているのでしょうか。
それは、日本国内のメディアで紹介された時に、dilongのg(グ)を発音して紹介されたため、今でもその呼び方が残っているのです。
発見・命名された中国ではディロンと呼ばれているので、ディロンと呼ぶ方が正しいでしょう。
しかし、生物学の世界では学名になった時点で、表記は中国語ではなくラテン語とみなされます。読み方の規約はないため、発音は各国の研究者が好きなようして構わないとされています。
恐竜のみならずよくあるパターンのやつですね(笑)
ディロンと書いてあるサイトもありましたがディロングと書いてあったり、、( ¯•ω•¯ )
実際発音する時めっちゃちっく んぐっ って言ってるかもしれませn(笑)— KANAE (@nyongorogo) July 30, 2019
ディロンの生息地
ディロンは白亜紀前期(今から約1億2600万年前)、アジア(中国)の森の中で生息していたと考えられています。
化石は現在の中国東北部にある遼寧省西部の北票市、義県層から発見されました。
なお、遼寧省では、近年新種の恐竜がたくさん発見されています。
なかでも目立つのが、羽毛恐竜の発見です。現在発見されている羽毛恐竜のほとんどが遼寧省で発掘されています。
なぜ、遼寧省で羽毛恐竜が多数発見されているのかというと、この周辺で火山の噴火が繰り返されてきたためです。
火山灰に覆われて乾燥した環境は化石を保存するのに最適で、通常は残りにくい羽毛部分も化石として残るというわけです。
まとめ
今回は最初に羽毛が確認されたティラノサウルス類の恐竜であるディロンについて解説してきました。
まとめると次のようになります。
・全長1.6m、体重は不明
・小動物を捕食していた
・名前の意味は皇帝龍(恐竜の王)
・白亜紀前期の中国で生息していた
ディロンの化石発見は恐竜史において大きな出来事となりました。
古生物の研究は日々進歩しています。今後も新たな化石の発掘や研究によって様々な事実が発表されることを心待ちにしたいと思います。